文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

モスクワの奥田碩氏の映像は、何故、消えているのか?


小泉純一郎元総理が、モスクワで、「定額給付金衆議院採決には欠席する…」と、「郵政民営化見直し」と「かんぽの宿」疑惑追及をはじめた麻生政権を恫喝するかのような「造反記者会見」をした時、小泉氏をサポートするとでもいうかのように、小泉氏の両脇に座って睨みを効かしていたのが、トヨタ奥田碩氏とエコノミスト田中直毅氏だったことは、たまたま見た最初の「モスクワ記者会見」のニュース映像に映っていたから、僕も、自然に分かったのであるが、しかし不思議なことに、この「小泉造反記者会見」のその後の映像からは、隣の奥田碩氏の姿が意識的に隠され、視聴者の目からは奥田碩氏の存在が消去されているようである。たとえば、昨夜(2/23)の「テレビスクランブル」でもこの記者会見の映像が流されたが、田中直毅氏の姿は確認できたが、奥田氏の存在は確認できなかった。何故、奥田氏の映像が隠されなければならないのか、僕には理解できないが、いずれにしろ、最近の「小泉造反記者会見」の映像には、奥田氏の姿は見えないので、僕としては、小泉氏の隣に座っていたのが奥田碩氏であったかどうか、自信がもてなくなっていたのだが、その後のニュース報道から、やはり、小泉氏の隣に座っていたのは奥田碩氏だとわかってきた、という次第である。それにしても、「麻生おろし」を視野に入れた、麻生政権への「造反会見」とも言うべき小泉氏のモスクワ記者会見において、オリックス宮内義彦氏とともに、財界人としての立場から小泉構造改革を強力に支援し、支持してきた「奥田碩」という問題の人物が、何故、小泉氏の隣に座っていたのだろうか。不思議であり、不可解である。言い換えれば、あまりにも出来すぎている。前々から予定されていたメンバーによるロシア訪問であり、小泉氏の両隣に奥田碩氏と田中直毅氏が座っていたとしても、別に不思議はない、と言うかもしれないが、波乱含みの政局の中で、小泉純一郎奥田碩田中直毅各氏が揃って記者会見に臨む姿は、僕には十分に、政治的な意味、象徴的な意味のあることのように見える。何しろ、奥田碩氏こそは、小泉純一郎政権時代の経団連会長として、宮内義彦氏とともに民間サイドから小泉・竹中構造改革改革を支援し、主導した張本人であり、したがって麻生政権の推し進める「郵政民営化見直し」や「かんぽの宿」疑惑追及では、追求を受ける側であり、その身が危うくなりつつあるのは、小泉氏と同じ立場だからである。しかも、奥田碩氏は、トヨタの幹部という立場や前経団連会長の立場の威力をちらつかせて、「年金問題」で政府を追求し続けるマスコミに対して、「これ以上、年金問題でのバッシングを続けると、広告を引き上げるぞ…」とマスコミを恫喝した人物なのである。マスコミが、「奥田碩情報」を自己規制するのは、当然なのかもしれない。小泉純一郎元首相が、「モスクワ造反記者会見」に奥田碩氏を、何故、同席させたのか、あるいはそれに対してマスコミが、何故、「モスクワ造反記者会見」に奥田碩氏が同席していたという事実を、記者会見映像から隠すのか、ということは、今更言うまでもなく、その理由は明らかであろう。ちなみに、「小泉モスクワ記者会見」に同席したもう一人の民間人・田中直毅氏は、「郵政民営化委員会委員」であり、これまた張本人の一人である。ロシア訪問は、「国際公共政策センター」の行事によるものだったらしいが、植草一秀氏によると、この組織の最高幹部は以下の通りである。

会 長 奥田 碩
理事長 田中直毅
顧 問 小泉純一郎

さらに、「郵政民営化委員会」委員のメンバーは、田中直毅氏を筆頭に次の五名であるらしい。

田中直毅 国際公共政策研究センター理事長
飯泉嘉門 徳島県知事
辻山栄子 早稲田大学商学部教授
冨山和彦 株式会社経営共創基盤代表取締役最高経営責任者
野村修也 中央大学法科大学院教授

田中直毅氏もまた、今や、単なる凡庸な経済評論家、単なるエコノミストではなく、竹中平蔵氏等と同じように、元首相・小泉純一郎氏の政治的権力と構造改革利権に直結した政治的人物なのである。言い換えれば、小泉純一郎奥田碩田中直毅の三氏が、揃いも揃ってモスクワで合同記者会見して、麻生政権の政権運営を批判し、「麻生おろし」ともとれるような政治工作を画策したということは、これらの人物たちが、小泉構造改革の主要メンバーだったということを白状しているようなものであって、従って当然のことだが、「小泉構造改革」、あるいは「郵政民営化」「かんぽの宿」疑惑を批判しようと思うならば、同時に竹中平蔵氏らと並べて、奥田碩氏や田中直毅氏をも批判しなければならないということなのである。