文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

曽野綾子は、何故、逃げ続けるのか?


先日、佐藤優氏との対談は終わり、今、編集校正中であるが、佐藤氏の対談は二時間以上にもわたり、内容も多岐に渡ったので、いずれ近い内に、書籍として出版するという計画も持ち上がっているが、その一方で、「沖縄集団自決裁判」をめぐる小生の記事や雑誌論文について、沖縄新聞社からの問い合わせもきているので、近いうちに沖縄の新聞にもコラムを書くことになるかもしれない。さて、「沖縄集団自決裁判」騒動のその後だが、曽野綾子が依然として沈黙し、「逃げるが勝ち」的状況を演出し、肝心の誤字・誤読問題をも無視し続けているらしく、大江健三郎出廷前後まではあれほど頻繁に保守系マスコミに登場して、担当弁護士や池田信夫井沢元彦等を使って大江健三郎の「罪の巨魁」批判を派手に展開していたにもかかわらず、今や音なし(?)、曽野綾子だけではなく曽野綾子周辺からも反論や反応がまつたく聞こえてこない。しかも、曽野綾子は、何をトチ狂ったのか、肝心の自分の誤字誤読問題には一切ふれず、大江健三郎朝日新聞のコラムで弁護士の名前を間違ったことやその謝罪の仕方を、自分の間違いを朝日新聞に謝罪させたとかなんとか言って、「wil」の新連載コラムで批判しているらしいが、まつたくいい気なものである。「罪の巨魁」発言を表看板に、ノーベル賞作家・大江健三郎を批判・罵倒していたあの元気は、どこへ消えたのだろうか。年末年始、外国旅行をしていて、その前後の情報がわからないとかなんとか言い訳しているらしいが、もう二月ですが、あの騒動を忘れてしまったとでも言いたいのだろうか。日本の女子学生が、旅行先で、「洗剤で米を洗った……」なんてギャグ(都市伝説?)を真に受けて、最近の日本女性や日本の母親達の品位の欠如や躾の不在を嘆き、とうとうとお説教を垂れる閑があったら、肝心の自分の仕出かした不始末の後片付けでもするべきだと思うのだが、カトリック勲章をもらいすぎて懺悔する習慣を忘れてしまったのか、とんとその気配はない。絶体絶命のピンチが激変し、いつか状況が好転するタイミングでも見計らっているのだろうか。ところで、曽野綾子の『ある神話の背景』(『「集団自決」の真実』に改題、ワック)で、「I氏」として登場するジャーナリストがいて、曽野綾子にかなり重要な役回りを振付けられているのだが、この「I氏」とは、「石田郁夫氏」のことで、『サンデー毎日』創刊50周年記念特集(1972年4月25日)に「渡嘉敷島民集団自決の真相」を書いた人らしいが、初版の『ある神話の背景』では、そのまま「石田郁夫氏」と表記しているのに、改訂版から「I氏」に変更しているようだ。何故、石田郁夫氏だけが、「I氏」と匿名扱いされなければならなかったのだろうか。曽野綾子の改訂版『ある神話の背景』を読むと、曽野綾子の「石田郁夫氏」ないしは「I氏」への敵意はすさまじいもので、『「集団自決」の真実』の末尾では、赤松の渡嘉敷訪問について、「赤松氏はそこに死にに行くのではないか、と先走って、不吉な考えを私は起こしてしまった……」と言う島尾敏雄の発言に対して、石田郁夫が、「そんな心はかけらだに持っていない……」と赤松の人間性を露骨に批判したのに対して、曽野綾子は、「I氏は赤松氏の死を望んでいるのか、あれほど血を流した上で、更にもう一人死んで貰えば、I氏の論理は満足させられるのだろうか」と書いているが、その口調は完全に喧嘩腰であることがわかるが、その石田氏だけを、何故、わざわざ「I氏」と匿名扱いへ変更しなければならなかったのだろうか。はなはだ疑問であると言わざるを得ない。おそらく石田郁夫、つまりI氏から激しい抗議でも受けたのだろう。ここにも、曽野綾子の平常心を失った「汚い語りの手口」(ナラティブ)が、つまり赤松への過剰な感情移入と、赤松を批判する沖縄住民やI氏等への激しい憎悪と差別・侮蔑意識が見えるように思うが、どうだろうか。それにしても、曽野綾子を、ここまで、つまり島尾敏雄石田郁夫等のきわめて常識的な発言に対して激昂するほどに、それほどまでに激しい赤松擁護へと駆り立てたものは、いつたい何だったのだろうか。曽野綾子は、赤松とは親戚でも恋人でも友人でもない、などと作家としては言う必要もないような薮蛇発言を繰り返しているが、その薮蛇発言を読むたびに、かえつてそこに何か秘密が隠されているのではないかと疑問を感じるわけで、興味のあるところだ。(続)




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資料(過去エントリー)

大江健三郎を擁護する。http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20071110/p1
■誰も読んでいない『沖縄ノート』。http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20071111/p1
■梅沢は、朝鮮人慰安婦と…。http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20071113/p2
大江健三郎は集団自決をどう記述したか? http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20071113/p1
曽野綾子の誤読から始まった。http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20071118
曽野綾子と宮城晴美 http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20071124
曽野綾子の「誤字」「誤読」の歴史を検証する。http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20071127
■「無名のネット・イナゴ=池田信夫君」の「恥の上塗り」発言http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20071129
■「曽野綾子誤字・誤読事件」のてんまつ。曽野綾子が逃げた? http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20071130
曽野綾子の「マサダ集団自決」と「沖縄集団自決」を比較することの愚かさについて。http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20071201
曽野綾子の「差別発言」を総括する。 http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20071202
曽野綾子の「誤字」は最新号(次号)で、こっそり訂正されていた(続)。http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20071206
保守論壇の「沖縄集団自決裁判」騒動に異議あり!!!http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20080125