文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

「日刊・ベリタ」の取材。テーマは「佐藤優の『アエラ問題』について」。

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先日、「日刊・ベリタ」というインターネット新聞の若い記者で、その数日前、「月刊日本」創刊10周年記念パーティの席で名刺交換したばかりのS君から、メールで「佐藤優」に関する取材申し込みがあったので、喜んで引き受けることにした。佐藤優は、最近の評論家、ジャーナリストの中で、僕が早くから高く評価し、注目している物書きだし、しかもつい最近、大宅ノンフィクション賞を受賞したり、あるいは「アエラ」の「佐藤優特集ー佐藤優という罠ー」記事をめぐって、「アエラ」の大鹿記者と一悶着を起こしているらしいとも聞いているので、僕としても、ここらあたりで、僕なりの「佐藤優論」を展開したいものだと思っている矢先だったので、「待ってました!」とばかりに、簡単に取材を引き受けたわけなのだ。善は急げ、というわけですぐに日程を確定し、しかも取材当日は、S君が、わざわざ小生の自宅近くまで来てくれるということだったので、武蔵浦和の「スターバックス」で待ち合わせることにした。実は、僕はパーティで確かに名刺交換はしたらしいが、そのS君の顔をはっきりとは覚えていない。電話の声からすると、だいぶ落ち着いた低音なので、しかも携帯を持っていないということなので、かなり年配の方かな、と想像しながら待ち合わせ場所へ向かった。少し早めについたので、編集長が交代して大幅にリニューアルしたばかりの「諸君!」を久しぶりに購入し、ページをめくりながらしばらく待っていると、そこへ現れたのは、とても若い青年だった。むろん、顔を見たらすぐに思い出した。「月刊日本」のパーティの時、僕の隣に座っていて、「保守論壇の硬直」や「佐藤優問題」等を中心に、かなり深く話し込んだS君だったからだ。S君は、台湾関係の取材が専門で、現在は台湾人の女性と結婚して台湾に住んでいると言う。最近、関係者への取材に基づいた「岸信介研究」を纏め上げ、近々本にする予定だという。というわけで、相手がS君なら僕も安心だと思って、さっそく本題に入って、「佐藤優問題」について話し始める。僕としては、「佐藤優は左右のイデオロギーを超えた存在論的な場所で思考することの出来る数少ない表現者だ…、柄谷行人が認めるはずだ…」というような、どちらかというと佐藤優を擁護し、絶賛するような話をしたかったのだが、途中で、どうも話のピントが合わないような感じがする。おかしいな、と思っていると、S君が持参した資料を見せてくれた。「アエラ」の「佐藤優特集ー佐藤優という罠ー」にコメントを寄せて、論壇の「佐藤ブーム」を「言論キムイルソン状態」とか皮肉っている小谷野敦のブログのコピーである。小谷野は、「アエラ」のコメントでも、佐藤優の「神皇正統記」論と「天皇論」に矛盾があるとも指摘している。つまり、現皇室は北朝系だが、「神皇正統記」は南朝系だから、佐藤の天皇論は矛盾しているというわけだ。一方、佐藤擁護のコメントを寄せているのは柄谷行人である。むろん僕の立ち位置は限りなく柄谷行人に近い。さて、S君は、佐藤優の才能や業績を認めつつも、どうも、「論壇の佐藤ブームに異議アリ」というような見地から、要するに「佐藤優批判」的な記事を書きたくて、小生に取材を申し込んだらしいのである。というのも、パーティの席で、僕は、佐藤優を絶賛しながらも、ただ一つの問題点として、「柄谷行人のような思想家と比較すると、佐藤には文体がない…」と発言していたからだ。おそらく、S君は、そこのところを聞きたくて小生に取材を申し込んだらしい。なるほど…。というわけで、小谷野敦のブログのコピーを見ると、佐藤優を揶揄したかのように読める「アエラ」の記事内容に激怒した佐藤が、「週刊金曜日」に公開した大鹿記者への告発状を取り上げ、それを小谷野敦が再批判しているようなのだ。「大鹿記者を批判するなら、その前にオレを批判しろ」というわけらしい。しかも、大鹿記者が佐藤に全面屈服して謝罪したのを、佐藤が「大鹿は逃げた…」と追い討ちをかけたのに対しては、小谷野は、「オレとの対談を拒否した柄谷行人こそ、逃げたと言うべきだろう…」と大鹿記者を擁護するかのように反論している。僕は、「アエラ」問題をめぐる両者の攻防に別にそれほど興味は無いが、小谷野敦が、そこまで言うなら…というわけで、この喧嘩に遅ればせながら、横合いから介入することにした(笑)。というわけで、S君と、昼間から、スターバックスでこんな話をいつまでも続けるのも興醒めなので、場所をすぐ近くにある焼き鳥居酒屋「リキ」に移して、ビールでも飲みながら、第二ラウンドを再開することにした、というわけなのだ(続く)。



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