文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

読者からのコメントより。

前日の西尾幹二先生の新著『江戸のダイナミズム』紹介に対して読者から優れたコメントをいただいたので掲載します。ご参考までに…。



お名前:三河屋彦衛門

コメント:はじめまして。●■●■と申します。HNは、三河屋彦衛門というこ
とでお願いします。

西尾幹二先生から新著『江戸のダイナミズム』が届いた。現代保守思想の神髄は、ここにしかない!、を読んでの感想です。


>保守思想家にも値しないような、流現代保守思想の元祖とも言うべき小林秀雄が、「日本の保守思想は、マルクス主義の影響下にそれへの反発と抵抗として生まれてきた」というようなことを言っているが、この小林秀雄的保守思想の起源論にただ一人注目し、小林秀雄の慧眼を高く評価したのは、なんと丸山真男だけだったという皮肉な事実…(笑)。


これは日本において右翼研究が少ないということと不可分ではないでしょうか? もともと国会の議長席の左右の位置から左翼そして右翼であり、社会主義共産主義という思想を纏って現れる左翼に対して、ただ社会主義共産主義を否定し伝統を志向するだけの右翼です。これは右翼否定ではなく、右翼の定義の難しさであり、結局のところ各国の個別的背景を捨象するとこの程度しか言えないとうだけですが、それでも日本の右翼を正面から研究している人は少ないように思えます。


>しかし小林秀雄は、マルクス主義は批判しているがマルクスその人のことは批判していないのである。


私もマルクス主義は批判の対象ですが、マルクスの提示した視点や枠組は評価しています。大学時代の恩師の1人である川勝平太マルクス資本論から視点や枠組を流用していますし、上部構造・下部構造という視点は有用です。もっとも私は「ルイ・ボナパルトブリュメール18日」の方に感銘を受けています。ルイ・ボナパルトという独裁者の誕生は、フランス国民の絶大な支持によるものでしたが、マルクスがその理由を解き明かしているからです。そして党派を政党支持者と置き換えて、ルサンチマン無党派層(B層と限定した方が良いかもしれない)と置き換えると、現在の日本の状況に酷似しているように思えるのです。政党の権力闘争と腐敗による政治不信により支持政党を失った者たちとルサンチマンが、ナポレオンの栄光を纏ったルイを支持しました。小泉政権の誕生も、小泉の自民党を壊すという幻想が無党派層を惹きつけたからだと考えられます(小泉が独裁者になれないのは、天皇という蓋があるからでしょう)。以上は、素人の考えですが、マルクスの視点や枠組は否定すべきものではありません(もっともネットでこれを言うと、転び左翼などと罵倒されることもあります)。


>さて、何故、江戸思想なのか、という問題である。僕は、個人的な妄想で言うのだが、ホンモノの思想家は、必ず江戸思想に注目し、深入りする、という固定観念を持っている。


これに関連していうと、教育勅語教育基本法の改正について誰も言わないことがあります。教育勅語は、明治の学制の導入によって試験主義・学力主義が台頭したことを懸念した明治天皇が、江戸時代の徳育教育の重要性を示すために、元田永ふに作成させたものです(これを井上哲次郎が、明治政府の権力強化に利用して、解釈が捻じ曲がって行きました)。だから教育勅語が素晴らしいというのであれば、その元となった江戸時代の徳育教育、つまり往来物による徳育教育も素晴らしいのです。そして手垢のついた教育勅語ではなく往来物は、左翼・右翼を問わず受け入れられるものです。そして徳育教育は道徳・倫理なのですから、そこには思想があります。そう考えると江戸思想は、非常に重要ではないでしょうか? だから江戸思想への着目した先人は偉大だったと思います。

以上、悪筆の程お許しください。私も西尾幹二の新著を読もうと思っています。




「人気ランキング」にご支援を!!! →。こちらも →にほんブログ村 政治ブログへ