文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

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●中国が仕掛ける「反金正日クーデター」の可能性は?

●中国が仕掛ける「反金正日クーデター」の可能性は?

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北朝鮮の核開発・核実験をめぐって中国の動きがおかしい。米露と打ち合わせ済の唐家セン国務委員が、直接ピョンヤンに乗り込み、キム・ジョンイルと差しで会談したようだ。かなり激しい遣り取りがあったと思われるが、いずれにしろ、対北朝鮮という観点に立つ限り、中国のコキントー政府は、完全にアメリカに歩調を合わせていると言って間違いない。おそらくキム・ジョンイルは、それに反発しているだろう。


キム・ジョンイル北京亡命説もまことしやかに囁かれていたが、その可能性は消えたと見ていいだろう。むしろ今は、そのあわただしい動きから推測するに、中国政府の狙いは、キム・ジョンイル追放のクーデターを、いつ、どういう後継者を前提に、仕掛けるか、という段階に来たと見ていい。


その可能性がもっとも高いだろうが、しかし、国際社会が深い関心を寄せる中で、キム・ジョンイル追放のクーデターを秘密理に展開することは不可能だろう。またキム・ジョンイル自身が、国内の親中国派によるクーデターの可能性をかなり早くから予測し、それをすでに具体的に察知した上で今回の一連の核実験強行の動きに出ているはずで、中国や親中国派の動きをかなり警戒しているものと見て間違いない。


僕がこのブログで何回も繰り返しているように、キム・ジョンイルは馬鹿ではない。当然、そんなにやすやすと中国の策謀にはめられるとは思えない。むしろ、中国の方が手痛いシッペ返しを食わされる可能性だって少なくない。


それにしても安倍は、威勢だけはいいが、完全に蚊帳の外に置かれている。北朝鮮の核実験に関するデータの好評も、ほぼアメリカ政府発表を後追いし、追認しているだけで、核実験に関する日本独自の観測データも分析結果も何の役にも立っていないようだ。


ところで、もし、中国主導で北朝鮮の核問題の処理が実現するならば、「日本はずし」の東アジア外交と東アジアの勢力図は、鮮明になるだろう。安倍政権は、アメリカの傀儡政権と言うだけではなく、中国の傀儡政権という色彩も強まるだろう。いずれにしろ、安倍・朝貢外交は、すでに始まっている。日本の出る幕はない。


昨日の党首討論における小沢一郎の、奥歯に物の挟まったような、意味深の周辺事態」発言の真意が、まったく理解できない安倍に、戦略的外交など無理である。黙って、中国政府の動きを眺めているだけだろう。


そして日本の核武装は、さらに不可能になるだろう。中川や麻生の日本の核開発・核武装発言は漫談に過ぎない。日本の核武装は、「対米中戦争」を覚悟することなくしては不可能だろう。「米中二極構造」の時代が始まったのだろうか。その橋渡しのパシリ役が、安倍訪中の役割だったということか。

金総書記と会談=中国国務委員、胡主席のメッセージ伝達


 【北京19日時事】北朝鮮訪問中の中国の唐家セン国務委員は19日午前、平壌金正日労働党総書記と会談した。唐国務委員は北朝鮮による核実験を受け、胡錦濤国家主席の特使として訪朝、金総書記に胡主席のメッセージを伝えた。北朝鮮が2回目の核実験を行う懸念が高まる中、胡主席は情勢を悪化させず、6カ国協議に復帰するよう金総書記に強いメッセージを送ったもようだ。
 今回の訪朝は、ライス米国務長官20日に訪中するのを控え、金総書記から核実験問題などで前向きな対応を引き出せるかどうかが焦点。国営新華社通信は19日、唐国務委員と金総書記の会談についての報道で胡主席のメッセージの内容や金総書記の反応を伝えておらず、説得は難航したとみられる。
 中国外務省の劉建超報道局長はこの日の定例記者会見で、唐国務委員と金総書記は「中朝関係や朝鮮半島情勢について突っ込んだ意見交換を行った」と説明。唐国務委員が先に米国とロシアを訪問したことを踏まえ、「訪朝には重要な意義がある」と強調したが、会談の詳細な内容は「把握していない」と述べた。 
時事通信) - 10月19日21時0分更新

北朝鮮、中国に「複数回実験」と通告 米テレビ報道


 米NBCテレビは17日、米政府当局者の話として、北朝鮮が中国に対し、地下核実験を連続して実施する方針であることを連絡していたと報じた。

 ブッシュ大統領は17日、次期国連事務総長に選出された韓国の潘基文外交通商相とホワイトハウスで会談し、核実験について「金正日(総書記)が地域の平和に脅威を与えるようなことはさせない」との決意を表明した。スノー大統領報道官は17日の記者会見で、北朝鮮が2回目の核実験の準備を進めている兆候がみられることについて、「一層孤立することになる」と牽制(けんせい)した。同報道官は「1回目の核実験後、米国と中国はこれまでにないほど密接に協力している」と指摘。「朝鮮半島の安全を保障するため、両国の関係は、戦略的パートナーとしてより緊密になる」との認識を示した。(ワシントン 有元隆志)
(フジサンケイ ビジネスアイ) - 10月19日8時34分更新

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●カール・シュミツトと「敵の政治哲学」

カールシュミット
「政治上の敵が道徳的に悪である必要はなく、美的に醜悪である必要はない。経済上の競争者として登場するとはかぎらず、敵と取り引きするのが有利だと思われる事さえ、おそらくはある。敵とは、他者・異質者にほかならず、その本質は、とくに強い意味で、存在的に、他者・異質性であるということだけで足りる。したがって、極端なばあいには、敵との衝突が起こり得るのであって、この衝突は、あらかじめ定められた一般的規定によっても、また「局外にあり」、したがって「不偏不党である」第三者の判定によっても、決着のつくものではない。正しい認識及び理解の可能性、そしてそれにともなってまた、干渉し判定する資格は、このばあい、存在的に関与し参加する事によってしかえられないからである。衝突という極端な事柄は、当事者自身が相互間で決着を付けるしかない。つまり、具体的に存在する衝突事例において、他者としてのあり方が、自己流の、存在の否定を意味するか否か、したがって、自己流の、存在に応じた生活様式を守るために、それに抵抗しそれと闘うか否かは、当事者のそれぞれが、自分で決定するしかないのである。現実の心理においては、敵はとかく悪であり、醜悪であるとされるが、それはおよそ、区別・結果というものが、そしてなかでももっとも強力・強烈である政治的な区別・結果はもちろんのこと、あらゆる利用しうる他の区別を、味方に引き入れるからなのである。だからと言って、それは、このような対立の独立性にいささかの変更を加えるものではない。したがってまた、逆にこうもいえる。すなわち、道徳的に悪であり、審美的に醜悪であり、経済的に害であるものが、だからといって敵である必要はない。道徳的に善であり、審美的に美であり、経済的に益であるものが、それだけで、特殊な語義における友、つまり政治的な意味での友とはならないのである。友・敵といったような特殊な対立を、他の諸区別から分離し、独立的なものとしてとらえることができるという、この可能性のなかにすでに、政治的なものの存在として事実性、独立性があらわれているのです。」
(C・シュミット『政治的なものの概念』)