文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

奈良県平群町の「騒音おばさん」を弁護する。(笑)


奈良県平群町と言えば、今は「騒音おばさん」の街として有名らしい。その「騒音おばさん」に懲役一年の実刑判決が出た。常識的に言えば執行猶予つきのところを、わざわざ懲役一年の実刑にした根拠は、本人に「反省ナシ」ということらしい。いずれにしろ、この判決にはマスコミ情報やテレビ映像の影響による世間の反響への迎合が感じられ、僕としては違和感を感じる。


僕も、最初に、「騒音おばさん」のテレビ映像を見たときにはさすがに驚愕したが、しかし今は必ずしもそうではない。この「騒音おばさん」をここまで追い詰めたものが何かあるはずである。たとえば、被害者という隣に住む女性とは何者なのか。僕は、今はむしろそちらの方に興味がある。


この女性は、未だにテレビでも顔を隠して、匿名で発言しているが、「騒音おばさん」の「異常な映像」を撮影し、それをマスコミに横流ししたのはこの女性であろう。この女性は単なる被害者なのか。この女性は、「騒音おばさん」に対して、これまでどういう具体的な反撃をしてきたのか。何もしていないはずはなかろう。そもそも、近隣トラブルにおける微妙な言動をビデオで撮影し、相手に無断でマスコミに一方的に横流しして、しかもそれをテレビでの報道を許可したという事実こそ犯罪ではないのか。テレビ局も、加害者の映像を一方的に流し続けるなら、被害者と称する人物の「映像」も平等に流すべきではないのか。


ちなみに、「騒音おばさん」は、若い頃は「それなりに」まともな生活をしていたらしい。が、今は娘を二人も亡くし、夫も病臥中らしい。「騒音おばさん」自身が、問題を抱えていたことは言うまでもないだろう。むろん、そうだからと言って、「騒音」が許されるわけではない。しかし、こういう問題を抱えて神経過敏になっている女性を、いきり立たせた責任が、近隣住民に何もないとは言えないだろう。


近隣トラブルとはそういうものだろう。「被害者(善)/加害者(悪)」という単純素朴なメロドラマを鵜呑みにしてはならない。

毎日新聞

騒音おばさん:「反省態度なし」と実刑判決 奈良地裁
 CDラジカセで大音量の音楽を鳴らし続け、近所の女性(65)への傷害と暴行の罪に問われた奈良県平群町若葉台3、無職、河原美代子被告(59)の判決公判が21日、奈良地裁であった。奥田哲也裁判長は「犯行は執ようかつ陰湿。住民にも迷惑をかけ、大きく報道され社会に衝撃を与えた。被告には反省の態度が感じられない」として、懲役1年(求刑同3年)を言い渡した。河原被告は即日控訴した。

 判決などによると、河原被告は90年、被害者宅の庭に設置された電灯をめぐりトラブルとなり、大声で怒鳴るなど嫌がらせを始めた。行動は次第にエスカレートし、02年11月から昨年4月の逮捕まで、連日連夜、女性宅に向けて音楽を流し続けた。女性は睡眠障害のほか、頭痛、めまい、高血圧を発症した。

 被告側は公判の中で、騒音と女性の発病の因果関係を否定。しかし奥田裁判長は「騒音による精神的ストレスと被害者の症状との因果関係は明らか」と述べた。

 一方、女性と夫が河原被告に慰謝料を求めた民事訴訟は、大阪高裁が先月、200万円の支払いを命じた奈良地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却。河原被告は判決を不服として上告している。         毎日新聞ー【高瀬浩平】