文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

桜間右陣の「右陣の会」で、野村万作の狂言を見た!!!

僕は、歌舞伎や能や狂言などについてはまったく無知である。しかし、最近、その種の古典芸術に接触する機会が増えてきた。何故だかわからない。歳のせいだろうか。しかも今までとは違って、その種の芸能に親近感が持てるし、その意味もなんとなく「わかる」ような気がするのだ。昨日も、能の金春流・桜間家当主の桜間右陣の「右陣の会」の舞台を国立能楽堂で拝見してきた。右陣氏は、つい最近までは「桜間真理」と名乗っていたが、昨年、「右陣」を襲名、21代桜間家当主となったたばかりの新進気鋭の能役者である。僕は、昨年、ある勉強会で右陣さんを知った。昨日の舞台は、先代の桜間道雄23回忌を兼ねたもので、右陣襲名後の最初の「右陣の会」公演であった。作品は、右陣が、母親(シテ)を演じる「柏崎」という母子の別れと再会の悲劇を描いた能がメインであったが、途中、野村万作狂言「合せ柿」も見ることが出来た。やはり役者の名前を知っていて観るのと何も知らずに観るのとではぜんぜん違う。右陣の「母親(シテ)」役もすばらしかったが、当然だが野村万作の芝居はさすがだと思った。実は、千駄ヶ谷国立能楽堂は3回目である。しかし作品の中身に関しては「附子」という狂言ぐらいしか記憶にない。二回とも正面席から観たのだが、正面席とか脇正面席とかいう意識もなく観ていたので、今度は中央の席で観てみたいものだなあ、などとと空想していたのだからお笑いである。いずれにしろ、これまでは、何がなんだかわからず、最初から最後までだただ呆然として観ていたのだが、昨日は、落ち着いてじっくり観劇することが出来た。座席は、中央の一番安い自由席だったが、僕にはそれで充分だった。劇場全体の雰囲気を十二分に味わうことが出来た。とりわけ国立能楽堂という建物や舞台装置や庭園などもじっくり観察してきた。休憩時間に通路に出ると、なんとあのドナルド・キーンとすれ違った。川端康成三島由紀夫と親交のあった日本文学研究家である。川端や三島が逝って相当の年月がたつが、キーンは年取ってはいるが、相変わらず元気そうであった。こんなところでキーンに逢えるとは感激である。むろん初対面であった。芝居後に開かれた懇親会の席で「僕も、小林秀雄三島由紀夫の本を書いています…」と話しかけたら、とても嬉しそうな顔をした。やさしい老人だった。




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