文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

キム・ジョンイル・フアンクラブまで作った韓国の青年達・・・。

アメリカや日本は、韓国ノムヒョン政権のますます濃厚になる北朝鮮融和政策に危機感を募らせている。北朝鮮政策における韓国の暴走が一種の反米政策であり反日政策であることは明らかだ。たとえば、ノムヒョン大統領は、支持率アップと政権維持ののために、歴史問題を初めとする極端な反日政策に方向転換したのだという分析もある。その証拠に、反日政策を宣言し実行するたびにノテウ大統領の人気はうなぎのぼりに上昇し、大統領辞任は不可避かとまで言われていたノムヒョン政権の政治危機は完全に消滅した、と言う。つまりノテウ政権の反米政策と反日政策はいずれも、人気回復と政権維持のための国内対策だというわけだ。たしかにその通りだろうと僕も思う。そもそもノムヒョンの人気下落は、イラク戦争への韓国軍派遣問題から始まっている。小泉総理と並ぶ、無批判なアメリカ追随政策が、反米意識の強い韓国国民に愛想尽かしされたということだ。とすれば、ノムヒョン大統領の政策が人気回復のために反米政策や反日政策に傾斜していくのは当然だろう。しかし北朝鮮問題に関しては、忘れてならないもう一つの問題がある。僕は、今年も韓国人学生と小林秀雄の『考えるヒント』を読んでいる。その中の「ヒットラーと悪魔」は僕の愛読するエッセイでもあるので、今、このエッセイを読んでいる。このエッセイを読みながら僕が考えるのは、キムジョンイルはヒットラーではない、ということだ。言い換えれば、これはキムジョンイルにはミサイルを日本列島に撃ち込む勇気も度胸も政治哲学もない、ということだ。キムジョンイルはヒットラースターリンレベルの「冷徹な独裁者」ではない。小林秀雄はこう書いている。《ヒットラーの心理学に、何もあきれることはないのだ。現代の無意識心理学も似たようなことをやっていないと誰に言えるだろう。大事な点は、ヒットラーが、無意識界の合理的解釈などを自慢している思い上がった心理学者ではなかったところにある。「マイン・カンプ」に散在するこれらの言葉のうちで、著者によって強行され、大衆のうちに実証されなかった言葉は一つもない。「マイン・カンプ」が出版された時、教養の或る人々は、そこに怪しげな逆説を読んだに過ぎなかった。暴力団の団長に、上記を逸した風来坊の姿を見て、これを軽蔑した。が、相手の、比較を絶した大きな侮蔑の力はを計ることは出来なかった。ヒットラーは、一切の教養に信を置かなかった。一切の教養は見せかけであり、それはさまざまな真理を語るような振りをしているが、実はさまざまな自負と欲念を語っているに過ぎないと確信していた。》と。小林秀雄に言わせると、ヒットラーはまぎれもなく確信犯なのだ。繰り返すまでもなく我がキムジョンイル君は確信犯ではない。善意の独裁者に過ぎない。さて、韓国青年の証言によると、韓国の青年達は、南北融和のきつかけになったキムデジュンーキムジョンイル会談を、テレビ映像を通じて不思議な感動を持って見ていたらしい。それは、韓国政府主導の今までの「北朝鮮批判」「キムジョンイル批判」の国内教育が事実に基づく教育ではなく、大嘘だったという感動である。「キムジョンイルは悪魔でも無能でもない。むしろキムデジュンよりも立派な指導者ではないか…」と言うわけだ。キムジョンイルの態度や言動は、韓国国民好みのものだったらしいのだ。それをテレビ画面に映し出されたキンキン会談の映像が実証したというわけである。その時、韓国内には、「キム・ジョンイル」フアンクラブまで誕生したと言う。むろんそれは政府主導ではない。要するに、北朝鮮キムジョンイル政権への国民感情は、敵対的な段階から親和的な段階へ確実に移行しているということだ。それは同じ民族同士にしかわからないものだろう。韓国国内の「朝鮮戦争」以来の「北朝鮮敵国イメージ」は大きく変化している。韓国は現在では世界10位の経済大国である。北朝鮮と統一し、核保有国となる日もそう遠くないだろう。その時、日本はどうするのか。







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