文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

■フジ・ライブドアの攻防戦を読む。


 ニッポン放送の経営権をめぐるフジ・ライブドアの攻防が、一挙に山場を迎えようとしている。フジ・ニッポン放送側が、フジテレビを引き受け先とする第三者割り当てによる「新株予約権」を発行する、という商法違反すれすれの対抗策を公表したからだ。もしこの作戦が成功すれば、ライブドアはいくらニッポン放送株を買いましても経営権を手に入れることは不可能だ。むろん、これで「終わった」と言う事は出来ない。ニッポン放送の亀淵社長の顔がひきつっていたから、この防衛作戦がいかに深刻な危機感に基づくものだったかを象徴している。それにしても、榊原某や堀某、財部某……という自称「経済専門家」たちの発言は何だったのか。日曜日のテレビで、「ライブドアの全面敗北」「そんなことはイロハのイですよ」「素人以下のやり方」と笑いながらホリエモンに向かって敗北宣告していたが……。そんなに単純明快なことならフジ・ニッポン放送サイドが、訴訟騒動を覚悟してまで顔をひきつらせる必要はなかっただろう。テレビに登場する「専門家」がいかに「無知蒙昧」であるかを露呈した一件だ。さて、ホリエモンは、ニッポン放送株買占めの本当の動機を、こう説明しているらしい。「IT産業と言っても実質的な利益は金融業であって、ITそのものによる儲けは微々たるものにすぎない。金融業で利益を上げていくとすれば、社会的認知度と信用が必要だ。メディア産業を手に入れれば、一挙に認知度が増し、信用がつく。」と。この事実はプロ野球に参入したヤフーと楽天の高収益が証明しているから間違いではない。それにしても小泉首相をはじめとして、政治家たちのほとんどがこの騒動に批判的らしいが、この騒動をもたらしたものこそ、小泉・竹中改革路線だということを理解してているのだろうか。「不良債権処理」を強行して金融不安をあおり、倒産や合併で日本の金融システムをズタズタにした張本人は誰なのか。壊滅的な状況に追いこめられて機能不全に陥っている金融システムの隙間で稼ぎまくっているのが「IT系金融機関」なのである。要するに竹中改革路線を忠実に実行しているのがライブドアホリエモンなのだ。竹中は、今こそ、「小泉・竹中改革」の成果を誇示すべきではないのか。「やっと、IT産業がプロ野球やテレビ新聞を買占め、支配する時代が来た。」と。(笑)