文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

■ イラク戦争の本質は石油利権争奪戦?


 イラク戦争が始まった当初から、イラク戦争の本質は石油利権争奪戦だという説が根強い。ブッシュ一家が石油資本家だということもその解釈に説得力を持たせている。しかし、僕は、一貫して、この戦争は石油戦争ではなく、もっと次元の高い「文明間戦争」であり、「宗教戦争」だと主張してきた。今もその考えに変わりはない。一斉を風靡したにもかかわらず、ハンチントンの「文明の衝突」論は評判が悪い。しかしその真意は、現実の世界を直視したくないというだけのことである。ちなみに、いずれはイスラムが世界を支配する時が来ると僕は思っている。「政教分離」という欧米キリスト教的な「宗教の世俗化」の波は、やがて欧米とそれに追随する東洋を政治的な空白地帯へと導くだろう。そしてその宗教的、政治的空白を埋めるのが未だに聖職者が政治的実権を握っている「政教一致」のイスラムであろう。
 むろん、今、アメリカ政府を主導する思想集団・ネオコンはそれを知っている。このグループらの世界戦略は、「対イスラム包囲網」といしう一点において純粋・過激である。
 さて、昨夜、長年、商社マンとしてエネルギー問題に取り組んできた横瀬一郎氏(元三菱商事常務、帝京大学教授)の話を聞いた。テーマは、石油をめぐっていかに激しい血みどろの戦いが世界の各地で繰り広げられているかと言うものだった。石油利権の前では、国王も民主主義もヘチマもない、もちろん親兄弟もない、と言う。すさまじい欲望の渦巻く世界、それが石油をめぐる世界の実相であるらしい。言い換えれば、国家や国民の「命の水」とでも言うべき石油問題を抜きに20世紀、あるいは21世紀の世界史は語れない、ということであろうか。
 ところで、このままの調子で石油消費を続けていくと石油資源は後40年か50年で枯渇するという統計があるらしい。石油に代わるエネルギーはまだ見つかっていない。
 なんとなく、イラク戦争も「石油戦争」だと考えたくなるような話であった。