文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

日大芸術学部教授・清水正を励ます会。

昨夕、御茶ノ水の「山の上ホテル」で、日大芸術学部教授・清水正を励ます会があり、出席した。新著『チェーホフを読め』(鳥影社)の出版を祝う会である。清水氏は、筆力旺盛で多産型の評論家・学者で、すでに膨大な量の著書を持っているが、出版会なるものをするのははじめてらしい。僕は、発起人の一人にもなっており、また新著『チェーホフを読め』の「しおり」にも簡単な清水論を書いているので、今日は絶対遅れないように早目に家を出るつもりだった。実は、先日の「三田文学」のパーティでは、始まりの時間を勘違いして、1時間も遅れてしまった。

この日のはじまりはおそらく6時半だろうと勝手に決めていたので、お昼頃には家を出て、神保町界隈の古本屋めぐりでもしようかと考えていたのだが、例によってパソコンなどをいじってクズグズしているうちに、時計を見るとなんと5時半になろうとしている。これはマズイとあわてて家を飛び出した。汗びっしょりになりながら、御茶ノ水駅の階段をかけあがり、明大の新館横を通り抜けて、あわててかけつけたのだが……。新館のホールを通り過ぎ、会場の二階へ向かおうとすると、顔見知りの人が数人ホールでのんびりとした様子で椅子に座っている。聞いてみると始まりは実は7時だったらしい。ホッとすると同時に、一挙に新しい汗が噴き出してきた。

こういう時は、遅れるよりは早過ぎる方がいい。僕もソファーにすわり、雑談に参加した。清水さんを初めとして次第に人が集まってきた。普段、あまり話す機会のない人たちともゆっくり話ができたのは幸いだった。今年から僕と同時に日芸の講師になった、「小説新潮」前編集長で、現在は新書出版を担当しているという新潮社の校條剛さんに、養老猛司のベストセラー『バカの壁』や『死の壁』の裏話などを聞いているうちに時間になった。

パーティはほどよい人数で、しかも椅子とテーブル、食べ物はバイキング形式。くだけ過ぎることも、また過度に形式的になることもなく、アットホームな素晴らしいものだった。近代文学研究の権威・平岡敏夫先生が同じテーブルに座っていることは、先生が発起人代表として挨拶するまでわからなかった。しばらくしてから挨拶に伺うと、さつそく江藤淳の『昭和の文人』に間違いがある、という過激な話へ。江藤さんと新橋の料亭で対談したこともあるとか。僕は、これまで国文学や近代文学の研究者というものを軽蔑してきたが、実は平岡先生のような高名な近代文学の研究者に身近に接したのは初めてだった。

さて、清水正と言えぱドストエフスキーだ。僕はほぼ同世代なので、学生時代から「清水正」という名前は知っていた。清水さんは、早くからドストエフスキーの研究家として知られ、清水さんが主宰するドストエフスキーに関する研究雑誌や本が、書店の本棚に並んでいたからだ。僕も、挨拶を頼まれたので、そんな話をした。