文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

70年代アメリカで、ケインズ経済学は、なぜ、失墜したのか?

昨夜は、雨の中、霞ヶ関霞山会館で行われた「丹羽経済塾」に出席。フィリップス曲線(雇用と物価の相関関数)を使って、70年代アメリカ経済においてケインズ経済政策が信用を失った理由を分析。好況→物価高、不況→物価下落という常識的な思考によって、総需要抑制政策(ケインズ的なマクロ政策)をとったことが、不況下の物価高という、いわゆるスタグフレーションを惹起した。ここでケインズの権威は失墜したとおもわれているが、しかし計量経済学を駆使して当時のアメリカ経済を分析していくと、政府やエコノミストが、好況→物価下落、不況→物価上昇、つまり右肩上がりのフィリップス曲線を知らずに、総需要抑制政策(景気抑制)をとったことが原因とおもわれる。したがって、ここでケインズ経済学が破綻したというのは間違いだ。これが丹羽先生の分析。
もう一つは、アメリカ経済における「双子の赤字」論。双子の赤字とは、財政赤字貿易赤字。これでアメリカ経済への悲観論が強調されるのが普通だが、実は、双子の赤字は、経済学的にはあまり問題にならないという。景気回復によって、税収が増えるとこの問題は一挙に解決する可能性があるからだ。双子の赤字アメリカ経済の病根のように見るのは間違いである。
さて、昨夜の研究会にで、もう一つ重大な問題を知らされた。公認会計士のH氏によると、国民年金から厚生年金などに財源が移動しているらしい。しかも、厚生年金など、いわゆる大企業サラリーマン、公務員などは、基礎年金を不払いのまま、税金から財源を補給して膨大な年金をもらっているらしい。
つまり、マスコミや世間の常識とは逆に、大企業サラリーマンは、税金から膨大な補助を受けてそれを年金の上乗せとしてもらっているということだ。
しかも、中小零細企業のサラリーマンは、ほとんど国民年金に加入しているらしい。
まったく驚くべき実態があきらかになったわけだが、誰もまだこの問題に気づいてもいないようだ。
会計学のプロが綿密な資料分析の上で言うのだから、おそらく間違いはないだろう。しかし、今、さかんに年金問題を追及している某週刊誌(週刊ポスト週刊現代……)は、この事実を説明しても関心を示さないらしい。都市型大企業サラリーマンを読者層として想定している週刊誌としては問題は理解できても触れたくない問題なのだろう。取材にきた記者は一目散に退散したとか。




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1947年生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科卒。慶應義塾大学大学院修了。東京工業大学講師を経て、現在、埼玉大学講師。朝日カルチャー・センター(小説教室)講師。哲学者。作家。文藝評論家。

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