佐藤優とマルクス(3)ー佐藤優は、マルクス主義経済学が「政治革命のために・・・」という政治的イデオロギーを中心に『資本論』を読むのに対して、マルクス経済学は、純粋に資本主義経済を「内在的論理」で分析解明するために『資本論』を読んでいく、と主張する。
具体的に言えば、宇野弘蔵の『資本論』研究が、マルクス経済学である。佐藤優は、浦和高校時代に、宇野弘蔵の弟子筋の鎌倉孝夫の「『資本論』読書会」に参加し、『資本論』の読み方の手ほどきを受けている。言い換えれば、佐藤優の『資本論』読解は、高校生時代から始まっており、かなり本格的で、筋金入りである。さて、では、宇野理論の特徴は何か。宇野は、『資本論』と革命運動や革命理論とを切り離し、純粋に資本主義経済の分析理論として『資本論』を読んだ結果、『資本論』の中心的テーマは「労働力の商品化」理論にあると考える。もちろん、宇野弘蔵ー鎌倉孝夫の流れで『資本論』を読む佐藤優も、この「労働力商品化論」を重視しながら『資本論』を読み解いていく。余談だが、佐藤優は『21世紀の資本論』で売れっ子になったフランスの経済学者・ピケテイと対談しているが、ピケテイが、マルクスの「労働力の商品化」をまったく理解していないと批判している。あるいは、柄谷行人の『資本論』の読み方は、「労働力の商品化」論ではなく、「価値形態論」を重視する。佐藤優と柄谷行人の差異は、「労働力商品化論」と「価値形態論」の差異であると言えるかもしれない。さて、宇野弘蔵や佐藤優が、マルクスの『資本論』の本質であると考える「労働力の商品化」とは何か。簡単に言うと、何も売るものがない労働者が、労働力という商品を売り、その見返りに賃金を得るということである。つまり資本主義経済社会のシステムは、労働者(会社員、サラリーマン)が、この労働力という商品を売り、賃金を得て生活するというシステムで成り立つ社会である。
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