文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

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青年ヘーゲル派とエンゲルス。

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エンゲルスは、マルクス以上に早熟の天才少年であった。裕福な新興ブルジョア階級に産まれながら、信仰厚い父親の厳しい教育を受けながら育った。つまり、エンゲルスは、宗教や信仰というものの、強い影響を受けながら少年時代を過ごした。


そのエンゲルスが、青年ヘーゲル派の論客として、誰よりも早く、過激な宗教批判を始め、そして唯物論を主張し始めるということになる。明らかにこの頃は、マルクスよりもエンゲルスが先行していた。しかし、ここに、誰が一番先に唯物論を主張し始めたかという脚力の問題とは異なる、もう一つ別の難解な問題があった。


確かに、この頃の若きエンゲルスの活躍は目覚ましい。しかしエンゲルスの活躍の背景には、「思想から思想へ」という転向の速さがあるように見受けられる。つまり敬虔なクリスチャンだった少年時代の有神論から、青年ヘーゲル派の宗教批判を経て無神論=唯物論へと転向していくエンゲルスの思想的軌跡には、あまり苦渋や逡巡、あるいは紆余曲折がないように感じられる。


廣松渉は、若き日のエンゲルスの活躍を高く評価するようだが、私は、そこのところにある種の違和感を持つ。そこで出てくるのが「遅れたマルクス」である。マルクスも、有神論から無神論=唯物論へと転向していくわけだが、そう簡単には転向していない。逆にマルクスは、宗教を批判しつつ、宗教を擁護しているように見える。/

(続く)

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