文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

青森県深浦の一夜。

dokuhebiniki2014-10-28


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太宰治の生家「斜陽館」訪問を翌日に控えて、深浦というところにある日本海を一望出来る深浦観光ホテルに一泊した。温泉に入り、くつろいだところで、清水正日大芸術学部教授と二人だけで、一時間ほど、「太宰治を語る」時間を持った。


清水教授とは、ここ10年来、ドストエフスキー論をはじめ、様々な文学論、哲学論、政治論、漫画論・・・などの議論を、酒を飲みながら、繰り返してきた。が、太宰治について語ることは、一度もなかった。お互いに、太宰治を避けていたわけではないが、小林秀雄中原中也などについては熱く語ったにもかかわらず、不思議なことに太宰治については、一言も語らなかった。


清水教授は、もちろんドストエフスキー研究者である。ドストエフスキーの「虚無」に魅入られて、ドストエフスキー一筋に、40年以上を過ごしてきた人である。現在、刊行中の『ドストエフスキー論全集10巻』シリーズは、清水教授のドストエフスキー研究の集大成である。廣松渉マルクス研究が世界的レベルならば、清水教授のドストエフスキー研究も世界的レベルにある。


その清水教授にも、太宰治の「虚無」など、甘ったれた、子供染みたものに見えるのだろう、と僕は勝手に思っていた。だから、僕の方から太宰治の名前など出す気になれなかった。僕も、三島由紀夫江藤淳の影響もあって、太宰治的なものを、強く軽蔑し、敬遠していたからである。


しかし、深浦での一夜。太宰治の「虚無」はドストエフスキーの「虚無」より深いのではないか、と清水教授が語り始めたので、ちょっと驚いた。なんと、清水教授は、ドストエフスキーを読む前に、太宰治を知り、太宰治の「虚無」に深い影響を受け、小説を書き始めたのだそうである。残念ながら清水教授が書いたという処女小説のストーリーは、聞いたが忘れた。虚無と死と向き合う小説だったようだ。


(続く)

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