文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

近畿大学准教授=榎木英介の本末転倒の「トンデモ科学論」を読む。榎木英介は、ブログで、「STAP細胞があろうとなかろうと、そんなことより、研究不正=関係者の処分が大事だ」と言っている。「STAP細胞があろうとなかろうと・・・」と。いやはや、凄まじいご意見である。

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僕は、人がどんな意見や感想を持とうと勝手であり、自由だと思っている。だから、どんな意見や感想を表明しようと、別に構わない。しかし、それを批判することもまた自由だと思う。ところで、その種の「トンデモ科学論」を、マスコミまで取り上げるとなると、問題は単純ではない。榎木英介の議論は、典型的な「転倒した議論」である。


科学研究に限らず、人間の知的活動には「目的」と、その目的を達成するための「方法」があると考えることができる。榎木英介は、「方法」がもっとも大事で、「目的」なぞ、重要ではないと言っているに等しい。これが、本末転倒した「錯誤した議論」であることは、明らかである。たとえば、「手術は成功したが、患者は死んでいた」というような例が思い浮かぶ。「正しい方法さえ守っていれば、新発見が可能だ」という議論にも繋がる。


理研笹井芳樹博士、小保方晴子博士、丹羽仁史博士などのように、果たして、前人未到の未知の世界で、新発見を目指す科学者たちにとって、そんな便利な方法があるのだろうか?これまで、新発見を行ってきた科学者たちは、そんなに品行方正な善人君子だったのだろうか?


「研究不正」や「研究倫理」 など、無能な科学者やその予備軍のための科学業界の教育項目に過ぎない。おそらく、先端科学研究者は、「研究倫理」などとは無縁である。悪魔に魅入られるような才能の持ち主は 、「研究不正」などに無関心だろう。逆に、榎木英介のような先端科学研究者の落ちこぼれが、異常に「研究不正」にこだわる。 もちろん、榎木英介は「科学者」ではない。「科学倫理研究者」でしかない。


STAP細胞があろうとなかろうと、重大問題は「方法」、つまり「研究不正」だというような本末転倒した思考こそ、ニーチェマルクスハイデガードストエフスキーなどが、激しく攻撃した思考、つまりギリシャ=ローマ以来の西欧形而上学、あるいは西欧近代主義的思考そのものだったのではないのか?


要するに、榎木英介のようなエセ科学者たちにとって、「発見」や「発明」など、どうでもいいのである。つまり、発見や発明に関わる危険なことや、新しい発見を目指す冒険なども、何もしないで、先生の言うがままに、平穏無事に学者生活を続けることが一番大事だ、ということになる。


かくして、「研究不正」に異常に敏感なエセ科学者が、科学コミュニテイーに、無数にはびこり、「先端科学研究者狩り」を繰り返すことになるというわけである。「笹井芳樹博士」の次に、誰が自殺するか?彼等は、密かに「何か」を期待しているはずである。そして、平凡、無能な 、何もやろうとしない三流科学者である自分、つまり品行方正なエセ科学者である自分に満足するのである。




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STAP細胞があろうがなかろうが
http://bylines.news.yahoo.co.jp/enokieisuke/20140827-00038598/



榎木英介 | 病理専門医かつ科学・技術政策ウォッチャー
2014年8月27日 0時56分


理化学研究所は2014年8月27日、丹羽仁史博士が行っているSTAP細胞の再現実験に関する中間報告を行う。

本記事は、その報告の前に書いている。中間報告がどのようなものになろうと、あるいは時が流れて最終報告がどのようなものになろうと、私の考えが変わることはないからだ。

STAP細胞があるかないか…多くの人たちの関心はそこにある。STAP細胞があれば、生命科学におけるエポックメイキングな成果となろう。当初の広報や報道が、再生医療に応用可能であると煽ったので、期待と希望を抱くのは当然だ。

しかし、STAP細胞に関する問題の核心は、STAP細胞の有無ではない。拙書「嘘と絶望の生命科学」(文春新書)で用いたたとえで説明したい。

よいたとえか分からないが、新しい説を提唱し、それをほかの科学者に認めてもらうことは、犯罪の容疑者を逮捕、起訴し有罪にすることに似ている。研究論文は、科学の歴史という法廷に提出する起訴状のようなものだ。

ある人を有罪にするには、証拠がなければならない。犯行に使った凶器や指紋、DNA鑑定など……どんなに状況証拠がそろっていたとしても、証拠が不十分なら容疑者を起訴することはできないし、起訴できて裁判に持ち込んだとしても、有罪を勝ち取ることはできない。有罪になるまでは、容疑者はあくまで容疑者、つまり無罪だ。

科学の新しい説も、まずは証拠をそろえて論文という形にして、科学の歴史という法廷に提出する。起訴状である論文に不備があれば、不起訴処分になるし、形式的に問題がなかったとしても、論理に不備があったり、再現性がなかったりすれば、新説が認められない。不十分な証拠では裁判で有罪判決を勝ち取ることができないのと同じだ。

論文は、あらゆる角度から吟味される。正しいと認められるまでは、新説は単なる仮説にすぎない。刑が確定するまで容疑者というのと同じだ。

科学者は、科学の歴史という法廷に新説という犯人を起訴するために、必死で証拠集めをしている。それこそ、犯行現場に落ちていた物質を全部調べるみたいな果てしない努力を続けているのだ。

STAP細胞はいったん科学法廷に起訴された(論文が提出された)。けれど、起訴状である論文には問題が多く、証拠にはなりえない状態だと分かった。犯行現場に落ちていた物質ではないものを証拠に使ったりしたようなものなのだ。だったら、不起訴処分(論文撤回)になって当然だった。

STAP細胞の問題の本質は、いわば不完全な証拠で人を起訴してしまったことのようなものだ。たとえるなら、捜査官の教育体制の不備、起訴状のチェック体制、捜査官の指導体制の不備、証拠の保全の遅れ、隠ぺい、不完全な検証体制、犯人の検挙率を過剰なまでに競わせる競争的環境、過剰な演出をした広報体制、捜査官個人を過剰にたたえた報道の在り方などが問題の背景にある。報道が容疑者の段階で犯人扱いしたことも問題だ。

捜査官を研究者に、起訴状を論文に、犯人の検挙率を論文の数、質、容疑者を仮説、犯人を事実にでも言い換えてほしい。意図することがお分かりになるだろう。

だから、たとえSTAP細胞があったとしても、問題はチャラにならない。いわばせいぜいあいつ怪しいね、犯人かもしれないね、という段階で、証拠をでっちあげて逮捕してしまったようなもので、たとえそれがたまたま真犯人だったとしても、問題が起こった構造を改善しなければ、誤認逮捕や冤罪は繰り返されるだろう。

8月上旬に起こった悲劇的な事件のため、今STAP細胞の問題に関する報道は下火になりつつある印象だ。特定の個人のスキャンダラスな部分に注目が集まらないのはよいことだと思う。個人をたたいたところで、構造が変わらなければ、問題は繰り返される。そんな今だからこそ、研究不正が起こる構造に焦点をあて、よりよい研究体制を作っていかなければならない。個人をスケープゴートにして、問題を先送りにしようとするたくらみにはノーと言い続けていこう。



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榎木英介
病理専門医かつ科学・技術政策ウォッチャー
1971年横浜生まれ。元理科少年。東京大学理学部生物学科動物学専攻卒業後、大学院博士課程まで進学したが、研究者としての将来に不安を感じ、一念発起し神戸大学医学部に学士編入学。卒業後病理医になる。兵庫県内の病院勤務を経て、現在近畿大学医学部病理学教室医学部講師。病理医として日夜働くと同時に、若手研究者のキャリア問題や、医療のあり方を考える活動を行っている。「博士漂流時代」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)にて科学ジャーナリスト賞2011受賞。近著は「医者ムラの真実」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、「嘘と絶望の生命科学」(文春新書)ほか
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「再現実験」は国民の期待を鎮める儀式

榎木英介 | 病理専門医かつ科学・技術政策ウォッチャー
2014年8月28日 7時41分

http://bylines.news.yahoo.co.jp/enokieisuke/20140828-00038636/
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けれど、この経費を出さざるを得なかったこと、そして丹羽博士という世界有数の研究者がこの実験に関わらざるを得ないという状況をつくった責任は誰が取るのか。丹羽博士がより重要な実験に取り組み、優れた成果をあげたかも知れない機会を奪っているのだ。

これから丹羽博士らは、肝臓や心臓の細胞を用いた実験、マウスの種類を変えた実験を行うという。

C57BL/6 以外の遺伝的背景を持つマウス、脾臓以外の臓器からの細胞を用いて、論文等に記載された毛細管通過刺激、各種酸処理等による終末分化細胞からの多能性細胞誘導現象の有無について 3 月末迄を目処に確認する。

出典:STAP現象の検証の中間報告
これらは当初の論文には書かれていないことも含まれ、もはやこれは「再現」ではなく、新しい実験だ。

ないことを証明するのは難しい。どこかで区切らないといけない。組織はたくさんあるし、マウスの種類も複数ある。マウスではない動物ではどうか、など言い出したらきりがない。今回の中間報告までの実験で、ある程度の区切りはできたのではないか。もう儀式は十分なのではないかと思ってしまう。
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