文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

林芙美子研究放浪記(4)

昨夜(5/1)は桜島の古里観光ホテルに宿泊。海辺の、波が打ち寄せる混浴の露天風呂を満喫。今朝も早朝、露天風呂で、曇りがちではあったが朝日を拝む。海には多数、船が浮かんでる。朝食を終えて、早速、道路の上にある林芙美子記念の古里公園へ。もう二度か三度、来ているが、相変わらず人は少ない。桜島が噴煙をあげてかいるため、林芙美子像も早朝の火山灰で煙っている。今回の最大の収穫は、公園の隣りの売店の岩元さんという御主人と話ができたことだ。林芙美子の幼少期の話を、林芙美子と同世代の「ばあちゃん」からの伝聞情報ながら、かなり貴重な未公開情報を含む話を聞く。林芙美子の母・キクは、桜島の古里温泉にあった「林旅館」の娘というのが定説のようだが、それは間違いのようだ。おそらく「林旅館」なるものは存在しない。山下旅館と上村旅館の二つの旅館しかなかった。たぶん、キクは、どちらかの旅館の「仲居」のような仕事をしていたのではないかと思われる。岩元さんの話を聞きながら、そんなをこと考えていた。それにしても残された写真から推察して、キクは、男に依存しなければ生きていけないような「か弱い女性」ではあったかもしれないが、いわゆる、「身持ちの悪い、性的にルーズな、奔放な女性・・・」だったという、これまでの定説も間違っているといわなければならない。要するに男たちに、あるいは女性たちにも、ほおっとおけないと思わせる様な「いい女」だったのではないか。林芙美子母子は「一卵性双生児」といわれるほど相互依存の関係にあったようだが、それは、娘の林芙美子が、生活力旺盛な職業婦人的立場から見ても、キクという女性を「ほっとけない女性」と見ていたということだろう。僕は、今回の旅行でキクの、予想外だったが、薩摩の女らしく、老人になってからも背筋をのばし、かなり毅然としている写真を何枚も見ているうちに、キクという女性に興味を持った。正午ごろ、フェリーで鹿児島市内に戻り、こんど鹿児島市立図書館へ。館長や学芸員の案内で林芙美子関係を中心に見学。リニューアルされたということで展示内容は大きく変わっている。暗から明へ。向田邦子のコーナーが強調されている。いかにも鹿児島の図書館らしい。僕はこの図書館で初めて林芙美子の声と映像をみることができたが、清水教授がいつもいっていることだが、林芙美子の声が意外に「魅力的」なのに驚いた。館長と学芸員の女性に送られて図書館から、「浮雲」の富岡が最後に彷徨いあるいた天文館へ。昨年の屋久島旅行と同様に吹上庵のビールとソバで打ち上げ。これで実り多い「林芙美子研究放浪記」も終わりだ。僕を除く一行は天文館から空港バスで鹿児島空港へ。僕は鹿児島に残り、毒蛇山荘へ。
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