文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

「保守論壇改造論」のススメ(1)。

我が『保守論壇改造論』(笑)。…田中角栄の『日本列島改造論』から連想して、こんなことを思い付いたのだが、というのも、現代日本の政治、経済の混迷と劣化は、源流をたどれば、保守論壇の思想的劣化から始まると考えるからだ。かつて保守論壇は、少数派ではありながらも、光り輝いていた。かつての保守論壇には筋金入りの保守思想家が、数は多くないが、確実に存在していた。小林秀雄福田恒存、田中美知太郎、三島由紀夫江藤淳……。西田幾多郎小林秀雄川端康成等が活躍した戦前は言うまでもなく、福田恒存江藤淳三島由紀夫等が活躍した戦後の復興から高度経済成長にいたるまで、それを思想的に支えるべき保守論壇があり、保守思想家たちが存在した。しかし、現在の保守論壇は、一見、隆盛をきわめ、雑誌も本も巷に溢れているが、そこにいる保守思想家の多くは、保守思想家とは言いながら、左翼からの転向組である。筋金入りの保守思想家ではない。西部邁に象徴されるように、いわば、機を見るに敏な、世渡り上手な、換言すれば軽佻浮薄なエセ思想家たちである。現在の保守論壇や保守思想を主導しているのはそういうエセ思想家たちである。保守論壇や保守思想が内側から劣化したのも当然だろう。今や保守論壇や保守思想は、勿論、例外はあるが、「売れる商品」として、つまり大衆消耗品として「消費」される存在に過ぎない。政治や経済の「暴走」、そして官僚やマスコミの「暴走」を批判できないのも当然だろう。そして、現在の日本の政治家や経済人は、その保守論壇や保守思想をそのまま鵜呑みにし、何の疑いもなく盲信しているのが現状である。戦後の日本を主導し、長期政権を維持してきた自民党という保守政党を、政権から引きずり落としたのは、政権交代を目指してきた民主党でも、辛抱強く「自民党潰し」に命を懸けてきた小沢一郎でもない。保守論壇や保守思想の劣化と、その劣化した保守論壇や保守思想を盲信するほどに思想的に衰弱した自民党の政治家たちである。自民党が政権から転げ落ちる切っ掛けは、いろいろあるだろうが、真の原因は、保守論壇や保守思想の「衰退」と「劣化」にある。反・保守革命とも言うべき「小泉構造改革」を批判するどころか、逆に擁護し、賛美してきたのが保守論壇や保守思想家たちであった。現在も、日本の保守論壇や保守思想家たちの多くは、「反中」や「中国脅威論」の虜になり、その一方で米国の日本占領政策に嬉々として加担し、日本の属国化に向かって暴走している。おそらく、小林秀雄福田恒存はともかくとして、自決した三島由紀夫江藤淳が健在であったならば、こういうテイタラクにはならなかったであろう。僕は、昔がよかったから昔へ帰れというつもりはない。昔あった「古きよき保守論壇」を再建せよ、と言うつもりもない。そんなことが不可能であることは言うまでもないだろう。しかし、現在の保守論壇や保守思想をそのまま、なんの批判も論争もなしに容認し、それに付き従うのは間違いだろう。あえて「保守論壇改造論」を提起するゆえんである。(続く)




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