文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

(続々)何故、小沢起訴は遅れるのか?

検審会の起訴相当議決を受けて、検察官役に選ばれた指定弁護士による「小沢強制起訴」が、「今週中にも」とか「今月中にも」とか、おそらく検察からのリーク情報を基にした記事だと思われるが、何週も前から、というより昨年から、大手マスコミが流し続け、小沢一郎に対する「離党勧告」や「辞職勧告」「党籍剥奪」…が明日にも行われ、小沢一郎は絶体絶命の窮地に追い込まれるかのように騒ぎ立てていたにもかかわらず、今月(一月)も終わろうとしているわけだが、依然としてその気配はない。大手マスコミが流し続けた「小沢一郎強制起訴情報」はガセネタだったのか。おそらくそうではない。指定弁護士は、検審会の議決を受けて「速やかに起訴すべし」というのが原則なのであれば、もう今頃は、「強制起訴」が行われていてもおかしくないわけで、いまだにそれが行われないとすれば、そこに何らかの事情があるはずだと想像するのが普通の感覚であろう。では、小沢起訴が遅れる理由は何か。小沢起訴を引き延ばすことによって政治的利益を得るものが、検察やその周辺にいるからなのか。それとも、強制起訴を遅らせている原因が、他にあるのか。僕は、小沢強制起訴の前提に二つの事件があると考える。前回に書いた「大久保秘書逮捕事件」と、そしてこれから書く「石川元秘書逮捕事件」である。おそらく、この二つの事件の帰趨と、「小沢強制起訴の遅れ」は深く関連しているはずである。さて、第五検察審査会の二度にわたる「起訴相当」議決と直結している陸山会事件を核心とする「石川元秘書逮捕事件」であるが、この逮捕事件は、現在、どういうことになっているのだろうか。そもそも「石川元秘書逮捕事件」とは何か。何を根拠に石川元秘書と大久保秘書、池田秘書の三人は逮捕されたのか。検察側が最初から狙っていたのは、水谷建設をめぐる贈収賄事件である。胆沢ダム受注をめぐって水谷建設から小沢一郎側に現金が渡っており、その現金が陸山会の土地購入資金四億円の一部となっているという見立てである。しかし、この検察側が描いていた「贈収賄事件」という物語は立証されず、石川元秘書が起訴されたのは、贈収賄とは無縁な、土地取引の記録に一年のズレがあるという、収支報告書の「記載ズレ」という微罪であった。ちなみに逮捕の段階での説明は、報道によると、3人の逮捕理由は次のようなものだった。大久保秘書が元秘書の池田と共謀して、2007年5月頃に同会から出金した4億円の支出を07年分の収支報告書に記載しなかった疑い。陸山会が04年10月29日に購入した土地の代金に充てた4億円の収入などを、04年分の収支報告書に記載せず、土地代金など約3億5200万円の支出を05年分の収支報告書に計上した疑い。この土地代の4億円に国土交通省発注の胆沢(いさわ)ダムの工事を下請け受注した謝礼として、「水谷建設」の元幹部らが、04年10月には石川容疑者に、05年4月には大久保被告に、それぞれ渡した現金5000万円が含まれているという疑い。これは、石川容疑者と大久保被告は全面否定しているが・・・。要するに、検察側は、石川知裕等を、贈収賄事件として起訴したかったが、それが証拠や証言が得られず、起訴できなかったということで、つまり微罪でしかない虚偽記載や記載漏れ、記載の「期ずれ」を理由にしてしか起訴できなかったということである。要するに「石川元秘書逮捕事件」は、贈収賄事件ではなく、虚偽記載や記載漏れ、記載の「期ずれ」という小さな事件にすぎない。しかし、検察は、検察の下請け機関に成り下がって「リーク報道」を繰り返す大手マスコミの影響力を利用することによって、「小沢一郎=クロ」のイメージを国民の間に定着させることには成功した。裁判の結果がどうなるにせよ、この一連の騒動で政治家・小沢一郎が受けたダメージは少なくない。さて、ここで、付け加えておくならば、すでに承知のことだが、検察官による石川被告の再聴取時の模様が、石川被告の手で録画され、その録音記録が裁判の証拠資料として採用されることが確定しているということだ。これは何を意味するか。この石川元秘書裁判もまた、ここにきて、大久保秘書裁判と同様に検察側に不利な条件が出そろったということだ。(続)




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