文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

(続)何故、小沢起訴は遅れるのか?かくして「大久保隆規秘書逮捕事件」は「無罪」となった?

記者クラブ制度」に保護されて安眠と惰眠をむさぼっている新聞・テレビ中心の大手マスコミのボンクラ記者たちは決して触れようとしないが、換言すれば、ネット住民や一部の週刊誌の読者にとっては今さら言及するまでもなく自明の事柄であり常識なのだが、これこそ小沢事件の原点であり、本丸とも言うべき「大久保秘書逮捕事件」と「石川元秘書逮捕事件」を、くどいようだが具体的に検証してみたい。まず「大久保秘書逮捕事件」から見て行こう。小沢一郎民主党代表として選挙基盤を強化し、政権交代が確実視され始めた2009年3月3日、小沢一郎の秘書・大久保隆規が逮捕された。表向きの逮捕理由はゼネコン西松建設からの企業献金疑惑だったが、明らかに、政権交代阻止、小沢一郎民主党代表失脚を狙った「国策捜査」であり「国策逮捕」だった。が、まだそのことに気付く人は、佐藤優や検察問題を追いかけていた一部のジャーナリスト以外には、それほど多くなかった。したがって、テレビや新聞、週刊誌は、こぞって、誰はばかることなく、「大久保隆規逮捕」を、政権交代のキーマンとなるはずの小沢一郎をめぐる政界の一大スキャンダルとして書き続け、大久保隆規秘書の個人情報だけでなく、その家族の個人情報(パチンコ?)までが、マスコミによって次々に暴露され、大久保隆規秘書はカネまみれの「極悪秘書」のレッテルを張られていく。そして最終的に、彼らの策謀・謀略を目標である小沢一郎の「民主党代表辞任」となる。さて、「大久保秘書逮捕事件」だが、結局、検察の捜査の本来の目的だったはずの「西松建設から小沢一郎への贈収賄」は証明できないままに、仕方なく、無理矢理に政治資金収支報告書の「虚偽記載」という問題に矮小化されていく。つまり、西松建設からの企業献金が、ダミーの政治団体(「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」)からの献金として記載されていたというのである。しかも西松建設からの企業献金は、自民党二階俊博経済産業相(当時)や尾身幸次等10人にも、小沢一郎とまったく同じように、渡っていたにもかかわらず、こちらの方は、一連の「小沢一郎抹殺陰謀工作」の裏の仕掛け人ではないかと噂されていた漆間巌官房副長官(当時、元警察官僚)が、不注意にも捜査の内部情報を告白したことから判明したように、「オトガメなし」というのだから、まったくバレバレというか、いい加減なものである。検察の狙いが、民主党党首で、政権交代後の「首相」が約束されている小沢一郎という人物にあったことは明らかである。ところで、検察側が描いていた最初の「物語」は、西松建設からの「贈収賄事件」となるはずであったが、しかし、「贈収賄」という「大きな物語」の証拠も証言も見つからず、結局、検察側が立憲したのは西松建設からの企業献金の「虚偽記載」という「小さな物語」あった。この虚偽記載とは、実際は西松からの献金であるにもかかわらず、それを隠すために実体のないダミーの政治団体、つまり「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」からの献金という形で会計処理していたというものであったが、2010年1月13日、第二回公判で、検察側証人として出廷した西松建設総務部長・岡崎彰文が、「二つの政治団体は実体があり、大久保にも伝えていた」と証言したことから、検察側の物語は根底から崩れ、「大久保秘書無罪」がほぼ確定的になった。つまり、検察側が、「小沢一郎逮捕」に向けて画策した西松建設からの贈収賄事件も虚偽記載事件も、いわゆる「大久保秘書逮捕事件」なるものは存在しないということになったということだ。言い換えれば、小沢一郎の「政治とカネ」問題の「二つの前提」の一つである「大久保秘書逮捕事件」が崩れたのである。しかし、繰り返すが、新聞やテレビを中心とする大手マスコミと、そこに巣食う御用ジャーナリストや御用コメンテーターたちは、決してこの「事実」に触れようとはせず、バカの一つ覚えのように、ありもしない「政治とカネ」問題を反復するだけである。しかし、検察はそのまま引き下がらない。次に検察側が、小沢一郎潰しのために仕組んだのが「石川智裕元秘書逮捕事件」であった。西松建設総務部長の「爆弾証言」から二、三日後の「2010年1月15日」、大久保隆規、石川智裕、池田光智の三人の秘書が逮捕された、いわゆる水谷建設からの贈収賄事件を念頭に置いた「陸山会土地購入事件」である。西松建設ルートが駄目なら、水谷建設ルートの「贈収賄事件」があるだろうというわけである。むろん、われわれとしてはここで、検察とマスコミが大騒ぎした「大久保隆規秘書逮捕事件」なるものが、つまり西松建設にかかわる贈収賄事件も虚偽記載事件も、結果的に雲散霧消したという「現実」を確認しておくだけで充分だろう。(続)




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