生産から交換へ。
柄谷行人は、『世界史の構造』の冒頭に、「本書は、交換様式から社会構成体の歴史を見直すことによって、現在の資本=ネ−ション=国家を越える展望を開こうとする企てである。」と書いてあるこてからも明らかなように、従来の古典的ともいうべきマルクス主義が「生産様式」を重視し、「生産様式」の変化が世界史の構造であると考える、いわゆる唯物史観の行き詰まりを打破し、乗り越えるべきキ−ワ−ドとして「交換様式」を前面に押し出している。これは、柄谷行人が、もはや、これまでのように、マルクスのテクストの読み直しや再解釈の段階にとどまりえず、ある意味では、マルクスやマルクス主義の否定や乗り越えが不可避となったことを意味する。(続く)