文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

菅直人は「三木武夫」になれるか?

政権基盤の弱い総理は、必ず警察・検察勢力に擦り寄り、それらの警察・検察勢力を行使して自分の地位を護ろうとする。小泉純一郎がそうだったし、三木武夫がそうだった。政権基盤の脆弱な菅直人総理誕生とともに、我々が覚悟しておくべきことの一つが、政権が危機に瀕する度に、目くらましのために、次々と政治家やそれに類する人たちが逮捕され、テレビや新聞わ中心とするマスコミが熱狂するというような、異常な、暗い時代が目前に迫っていると言う現実かも知れない。僕は、鳩山首相の後の権力闘争を、民主党内の少数派である「反小沢」グループの力に全面的に依存することによって勝ち抜いたと思われる菅直人は、いずれ小沢一郎や、あるいは小沢グループと全面対決をせざるを得ない、あるいは全面対決を演出し、ショーアップせざるをえないと思う。従って、今や、虎視眈々と長期政権を狙いつつあると思われる菅直人の政治権力は、小泉純一郎が「旧田中派つぶし」という政治ショーに政治権力を使ったように、もっぱら「小沢一郎対策」として、具体的に言えば「小沢一郎追放劇」として行使されるはずである。言い換えれば、菅直人は、田中角栄逮捕に「ゴーサイン」を出した三木武夫にならざるをえないわけだが、はたして菅直人三木武夫になれるだろうか。僕の予想では、菅直人三木武夫になれない。もちろん小泉純一郎にもなれない。何故か。マキアベリスト・菅直人がこれから試みるであろう政治謀略の手の内は、すでに多くの人に見抜かれているからだ。今、三木武夫を語る人はほとんどいないだけろう。「金権政治家」というレッテルとともに、逮捕され、国民的なバッシングを受けたにもかかわらず、田中角栄が、いつのまにか国民的なヒーローとして復権し、戦後政治史になくてはならない政治家として再評価を受けつつあるのに対して、逆に「正義の味方」「クリーンな政治家」だったはずの三木武夫の名前など覚えている人は少なく、メディアの表舞台に登場するとしても、わずかに「田中角栄逮捕劇」の「下手人」として、あるいはアメリカの仕掛けた政治謀略のお先棒を担いだ「裏切り者」としてでしかない。おそらく後世の歴史家は、三木武夫のことを、アメリカの権力と謀略に加担し、国民的なヒーローとしての田中角栄という政治家を、「売った」、反国民的な政治家として書き留めることになろう。菅直人が、それを承知の上で、政権維持と人気取りのために、警察・検察官僚と手を組むか。おそらくそれだけの「ワル」に徹することは出来まい。中途半端なマキアベリスト・菅直人三木武夫になれない理由はそこにある。




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