文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

小沢幹事長が鳩山首相を見放した日・・・。

鳩山首相が、佐藤優氏の言う「官僚クーデター」に屈服する形で始まった普天間問題をめぐる「日米共同声明」、その文書への福島瑞穂社民党党首の「署名拒否」、そして「罷免」、社民党の「連立離脱」という一連の事件を契機に、小沢幹事長が、「鳩山首相退陣論」で動き始めたようだが、この鳩山首相退陣論は、そもそも「鳩山首相は、何故、官僚に全面屈服したのか?」という問題と切り離せない。昨年八月の政権交代民主党政権確立後の政権運営の中心テーマは、「児童手当て」でも「高速道路無料化」「普天間米軍基地移設」でもなく、実は「官僚と民主党との対立・抗争」、あるいは「官僚と小沢一郎の権力闘争」という問題であったと言っていい。とすれば、自民党案である「辺野古」に固執する外務省や防衛省の官僚たちと、その官僚たちに丸め込まれた岡田外相、北沢防衛相、そして平野官房長官を筆頭とする官邸スタッフ・・・等が、あくまでも「県外か国外」という「腹案」に固執する鳩山首相を、説得・恫喝する形で最終的に「辺野古」案で決着することになった「普天間基地移設問題」は、鳩山内閣の迷走を象徴する事件だった。官僚に屈服する形で政権延命を目指した鳩山首相ではあったが、しかしまさしく官僚に屈服し、福島瑞穂社民党沖縄県民を切り捨てた時点において、小沢幹事長サイドから見れば、実は鳩山内閣は「終わった」のである。つまり政権交代後の民主党政権の迷走と支持率下落の根本原因は、鳩山や小沢を相手に「政治とカネ」をネタに仕掛けられた一連の「官僚クーデター」、つまり検察やマスコミの暴走と政治謀略であったにもかかわらず、鳩山首相周辺が、意識的にか無意識的にかは分からないが、それを軽視し、見逃し、「指揮権発動」や「法務大臣の更迭」等の対応策を怠ってきたことにある。つまり、ここ数ヶ月、政界を中心に引き起こされた「政治ドラマ」は、すべて「官僚クーデター」によるものだったが、最終的に鳩山首相は、その「官僚クーデター」に屈服し、官僚側に寝返ったということだ。それで政権交代や、政治主導を党是とする民主党政権が成立するはずがない。さて、普天間問題をめぐる「官僚クーデター」の一齣について、かなり早い時期(5月1日)に「琉球新報」が伝えている。

首相側近「県民反対でも強行」 辺野古くい打ち案明言
2010年5月1日 「琉球新報


 【東京】米軍普天間飛行場の返還問題で30日、鳩山由紀夫首相の秘書官の佐野忠克氏が喜納昌吉参院議員(民主)に、辺野古沿岸部へのくい打ち桟橋方式により、1800メートルの滑走路1本の代替施設を建設する案で政府が最終調整していると明かした。同日午前、首相との面会のため官邸を訪ねた喜納氏に、面会前に佐野氏が説明した。
 喜納氏が「くい打ち桟橋方式を含む県内移設には多くの県民が反対しているのに強行するのか」とただしたのに対し、佐野氏は「自分の考え方だ」と前置きした上で「(反対しても)強行する。政権を守るためにはやるしかない」と述べた。

 一方、首相は喜納氏との面談で、くい打ち桟橋方式や徳之島案などの詳細について尋ねた喜納氏に対し「まだ決まっていない」と従来の姿勢を繰り返した。しかし同時に、くい打ち桟橋方式は実現不可能だと主張した喜納氏に対し首相は「本当に無理なのか」と疑問を示し、同案の実現可能性を探る姿勢を示した。
 佐野氏は首相の政務担当秘書官で、普天間飛行場返還問題の実務担当者。4月の鳩山首相の訪米にも同行し、首相帰国後もスタインバーグ米国務副長官ら政府高官と交渉していた。
 同日、平野博文官房長官は4日に首相が沖縄を訪問すると正式に発表した。

 鳩山首相は同30夕、沖縄訪問について「現時点での政府の考え方を申し上げたい」と述べた。実質上、県内移設案の沖縄県側への打診とみられる。また政府案決定に向けた社民、国民新との調整について「擦り合わせをしながら政府の考え方を一つにまとめたい」と述べた。5月末決着については「米国と、沖縄と他の地域の皆さんに『よしこの方向で行こう』との合意がなされる時が決着だ」と述べた。
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鳩山首相を北沢防衛相を恫喝した日・・・。

『追い込まれ対米優先・・・日米共同声明の舞台裏』
『閣僚「辺野古」包囲網』
(5月28日、東京新聞)


20日の午後、官邸の首相執務室に防衛相・北沢俊美の怒声が響いた。「総理、なぜ腹を固められないのですか!」外相・
岡田克也、沖縄北方担当相・前原誠司官房長官平野博文
鳩山が政府方針の詰めの協議をしている最中だった。
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業を煮やした北沢が机をたたいて決断を促すと、鳩山は黙って
うなずいた。
 これを”号砲”に、22日の岡田と駐日米大使・ルースの会
で大筋合意。28日の共同声明発表へと「とんとん拍子」(政府関係者)で進んだ。

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北沢、岡田は現行案で大筋で認めるしかないとの思いを強めた。(中略) 問題は、3月末になっても「県外で頑張る」と言い張る鳩山だった。
 4月23日、関係閣僚がついに動く。平野は前原に「現行案で行くと腹を決めた」と知らせた。岡田はひそかにルースを米大使館に訪ね、現行案を微修正してまとめる考えを伝えた。米国は歓迎し、交渉のテーブルにつく姿勢を示した。

 「鳩山を何とかしようと画策しているみたいだな」ーーー。
「包囲網」の動きが民主党幹部に伝わった時には、外堀は埋まっていた。

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