文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

オバマの中国訪問の政治的意味について。


大統領就任後、最初のアジア歴訪の旅で、天皇に対しては90度に深々と腰を折って、日本人も驚くほどの丁寧な挨拶していったとはいえ、最近の日米関係を象徴するかのように、つまりわが国の政治・経済の力を軽視・無視するかのように、足早に通過していったオバマ米国大統領だが、中国に足を踏み入れるや、その態度を一変させて、中国政府の嫌う「人権問題」や「民主化問題」「軍拡問題」は封印して、ひたすら低姿勢で終始し、中国政府の機嫌取りに熱心なようであるが、これはある意味では「米国の衰退」と「中国の台頭」を象徴しているだけで、別に驚くにはあたらない。おそらく、これは、米国が日本よりも深刻に、政治、経済、軍事力における「中国の台頭」という歴史的現実を直視した上での対応だろうが、それを見て、わが国の保守派の一部は、一喜一憂しているようだが、何を勘違いしているのか、と言いたい。たとえば、安部晋三元首相は、未だに中国に対して「価値観外交」なるものを主張しているようだが、これは、明らかに西欧的価値観とも言うべき「人権」や「民主化」というイデオロギーを楯にした「イデオロギー外交」と言うことであって、かかる「イデオロギー外交」は力を背景にしないぎり無力なのであって、言い換えれば、経済力と軍事力を伴わない「イデオロギー外交」なんて、国際政治的に見れば、「負け犬の遠吠え」であって、「弱者のルサンチマン」に過ぎない、と受け止められるだけだろう。来年は、GDPで日本を追い抜いて世界二位になると言われる中国だが、経済成長や軍拡をはじめとした中国の台頭に怯える前に、まず現在の中国の現実の力を直視し、大人の対応をすべきだろう。その意味で、オバマが、中国政府に対して、「チベット問題」や「ウイグル問題」を持ち出さすことなく、経済問題のやり取りに終始したのは、当然のことだろう。わが国の指導者がやるべきことは、米国や中国の力の変動を直視し、米国や中国の指導者たちの言動を直視したうえで、いたずらに被害妄想的に一喜一憂するのではなく、冷静に自他の実力を見据え、将来の地殻変動に備えることだ。つまり米国が、これからは中国重視、日本無視でいくと言うならば、日本はこれまでの従属的に日米関係を見直す用意があると言うことを、声を大にして言う必要はないが、暗に態度で示すべきだ。本当に「怯えている」のがどちらかがわかるだろう。というわけで、オバマが、表面的には日本を軽視しているかに見せて、天皇の前に出るや、「臣下」のごとく頭を深々と下げた意味は小さくない。アメリカの保守派マスコミが、オバマの「土下座」に等しいような頭の下げ方を「屈辱的」だと騒いでいるようだが、当然と言えば当然の話だ。岡田や鳩山は、いたずらに、わが国に対するアメリカの恫喝外交に怯えるべきではない。沖縄基地移転問題は、最終的な決着は別としても、少なくとも「ヤンキー・ゴー・ホーム」の心構えで対処すべきだろう。ところで、中国訪問中のオバマが歩いた道を、つまり北京、天安門紫禁城(故宮)、鳥の巣、万里の長城……を、僕はほぼ一週間前に歩いた。特に「万里の長城」を散策するオバマの写真を見て、「ああ、あそこだな」と思った次第である。







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万里の長城にて。