「新聞記者上がり…」の御用評論家たちが語る「小沢一郎批判」の凡庸さと通俗性について。

僕は、昔から、原理的な思考や本質的な思考、あるいはラディカルな思考を偏愛するからかもしれないが、万事、常識と通俗、平凡を建前とする性癖から逃れられないように見える新聞記者、あるいは新聞記者上がりの評論家、学者、思想家という種族の凡庸な言説が、あまり好きではないが、不思議なことに、現在の論壇やジャーナリズムの主流は、そういう「新聞記者上がり…」の人種の凡庸な言説に占領されているように思われる。それ故に、昨今の論壇やジャーナリズムの底の浅い言説に不満で、その通俗的な文体と論調にも懐疑的なのだが、たまたま保守系オピニオン雑誌『will』五月号が、「さらば、小沢一郎」という小沢一郎バッシングの特集を出しているというので、普段はほとんど読みもしないし、読むとしても立ち読み程度で済ませているのだが、今月は仕方なく買ってしまったのだが、この『will』の小沢特集の書き手たちが、実はほとんどが「新聞記者上がり…」だということが分かって、あらためて、この小沢一郎バッシング特集の「凡庸さ」と「通俗性」に思い当たった次第である。「総理にならなくてよかった」の岩見隆夫氏から、「私が追及した小沢一郎の金脈」の松田賢弥氏、「朝日が小沢をつけ上がらせた」の山際澄夫氏、「平気でウソをつく小沢語録」阿比留比氏、「荒唐無稽な日米中三角形論」の田久保忠衛氏、「法の精神とは無縁な゛銭ゲバ゛小沢」の久保紘之氏･･･まで、すでに沖縄集団自決情報等をめぐって、彼等「新聞記者上がり…」の伝聞情報や噂話に依存するいい加減な取材・調査体質は暴露されているから、繰り返す必要はないだろう。この「小沢一郎バッシング特集」では、わずかに河上和雄氏と野村修也氏の二人が、検事出身、大学教授と「新聞記者上がり…」でないだけで、突発的な緊急特集ということで、「便利屋」として大慌てで「小沢一郎バッシング特集」に掻き集められ、借り出されたメンバーのほとんどが「新聞記者上がり･･･」であるということは、何を意味するであろうか。要するに、声さえかかれば、依頼主の意向に沿った記事を、綿密な取材や分析もしないままに、手軽に右から左へと書き上げることの出来る特殊な才能の持ち主たち、それが「新聞記者上がり…」のライターたちと言うことだろう。彼等は、ただひたすら、小沢一郎氏を、政治的な思想も識見も持ち合わせない「金権政治家」「壊し屋」「権力亡者」「和製スターリン」…というような紋切り型のダーティなイメージで捉え、総理総裁にもっとも相応しくない、危険なスターリン的政治家として批判・罵倒しているが、自民党離党後の小沢一郎の苦難と苦闘の連続であった政治遍歴を省みるまでもなく、小沢一郎という政治家が、日本では例外的に、政治的な原理原則に人一倍うるさい政治家であることは明らかであろうが、それ故に、かつては、文芸評論家・政治評論家の江藤淳氏から高い評価を受け、政治家としての将来を期待されていたわけだが、それよりも、今、我々が確認すべきことは、彼等「新聞記者上がり…」の御用評論家たちが、自民党や官僚とともに、小沢一郎総裁誕生を恐れていることが、よくわかる「小沢バッシング特集」であるということだろう。というわけで、保守系オピニオン雑誌『will』五月号の「小沢一郎バッシング特集」が、その執筆メンバーの経歴を見るまでもなく、三流週刊誌並みの浅薄なバッシング特集であることは、読まずとも分かろうというものだろう。むろん、僕は、「新聞記者」という存在そのものを差別し軽蔑しているわけではなく、その時の政治権力に迎合することでしか生きられずに、論壇雑誌や政治ジャーナリズムなどで、うすっぺらな政界情報や政界分析を書き散らして、自己満足している「新聞記者上がり…」の御用評論家たちを、まったく信用していないし、むしろ軽蔑しているというだけのことである。と言っても、僕は、彼等「新聞記者上がり…」の御用評論家たちを、本気になって批判するつもりはない。批判にすら値しないというのが、僕の判断である。彼等は、小沢政権でも誕生したら、「小沢一郎と私…」とか「私は小沢一郎のことは昔から知っている…」「私は小沢一郎の親友だった…」とか題して、涙の流れるような小沢擁護論、小沢賛美論を、素知らぬ顔で書くはずである。というのは冗談だが、この特集には、他に『文芸春秋』編集長上がりの堤尭氏が書いているが、堤氏は、西尾幹二氏の『江戸のダイナミズム』について、本居宣長をニーチェに類比して論じたのは西尾幹二が最初だ、と書いたので、僕は堤氏の教養をまったく信用していない。むろん、本居宣長をニーチェに類比して論じた人に柄谷行人氏がいるが、彼等にそんな話をしても無駄だろう。

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