文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

保守系オピニオン雑誌「諸君!」の廃刊決定の臨時ニュース

僕にとっては、これは、小沢一郎民主党代表の政策秘書逮捕というニュース以上に驚くべきニュースである。僕の青春時代の敬愛する大先輩であり、恩師でもあった江藤淳先生が執筆する中心的なメディアとして、僕なども、毎月、熱心に購読、熟読していた雑誌であったが、思想的に信奉していた三島由紀夫小林秀雄、そして江藤淳先生までが相次いで亡くなり、保守派論客の思想的水準が急激に低下するにつれて、思想的にも政治的にも堕落、低俗化した誌面になり、それに比例するかのようにネット右翼やマンガ右翼が台頭し、保守系オピニオン雑誌「諸君!」の読者数や購買数は増えたであろうが、僕などような創刊以来の読者は、ほとんど読まなくなったし、むしろ批判的な立場になっていった。最近は、マンガ右翼やネット右翼レベルの低俗な政界裏報誌的ないかがわしい誌面に成り下がっているために、まったくといっていいほど、読んでいない。その意味で保守系オピニオン雑誌「諸君!」の休刊・廃刊決定は、僕などにとっては歓迎すべき事態の到来なのだが、必ずしも僕は歓迎しない。「諸君!」は、日本の戦後史にとって画期的な意味を持つ政権交代が現実化しつつある今こそ、その十数年の思想責任、政治責任を追求されなければならない立場であり、そういう意味で、今こそ原点に立ち返るべき好機だったのに、この時期に廃刊・休刊されては、困るというものである。廃刊・休刊決定の理由としては「部数低迷」とあるが、確かにそういうこともあるだろうが、廃刊・休刊の真相は本当は違うだろうと僕は見ている。要するに、政権交代を目前にして、保守系オピニオン雑誌「諸君!」としては、これから追求されるべき思想責任、政治責任から、さっさと「逃げた!!!」のだと思う。いずれにしろ、「双方向」的なコミュニケーション・メディアとしてのネット論壇やブログ論壇の台頭の前で、左翼論壇、保守論壇、右翼論壇を問わず、雑誌の廃刊が続いているが、こういう「一方通行」的な雑誌ジャーナリズムが、時代思潮を先導し、無知蒙昧な大衆を啓蒙するというコンセプトが曲がり角にきているのかもしれない。


 asahi.com
創刊40年「諸君!」休刊へ 部数低迷
2009年3月3日




 保守系の代表的なオピニオン誌である月刊「諸君!」の休刊を、発行元の文芸春秋が決めた。5月1日発売の6月号が最終号になる。

 同誌は69年5月の創刊。看板雑誌である月刊「文芸春秋」の兄弟誌的な位置づけで、右派論壇を支える存在だった。福田恒存山本七平江藤淳林健太郎の各氏らが論陣を張り、巻頭の「紳士と淑女」、巻末に置かれた山本夏彦氏の「笑わぬでもなし」の両コラムも評判になった。

 日本雑誌協会によると、08年9月30日までの1年間の平均発行部数は約6万5千部。だが関係者の話では、実売は4万部を割る状況が続いていたという。

 同社全体の広告収入が減っており、新年度の好転も見込めないことから、「選択と集中を進める」(同社幹部)との意味合いと、創刊から40年という区切りもあって休刊を決めた。


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