文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

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「宮平秀幸新証言」は決定的資料なのか? 大阪高裁の『沖縄集団自決裁判』について……。

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大江健三郎の『沖縄ノート』をめぐって、一部の保守論壇の面々から提起され、大阪地裁での一審では、原告側敗訴に終わった『沖縄集団自決裁判』だが、今、大阪高裁で審議されているはずだが、僕は、今、裁判そのものがどうなっているかにはあまり関心がなく、つまり本質的に裁判そのものの動向や結果にはあまり興味はなく、現在、どうなっているのかについても、ほとんど何も知らないのだが、とは言っても、思想問題としての、あるいは文学問題としての『沖縄集団自決裁判』についてならば、僕は、この問題の動向に大いに興味があるわけで、そういう意味から言えば、今、原告側や被告側がどういう弁論や主張をしているのか、知りたくないわけでもない。というわけで、遅ればせながら、調べてみると、大阪高裁における『沖縄集団自決裁判』は、9月9日に結審し、10月末には、判決の言い渡しがある段取りらしい。ところで、小生のブログのコメント欄の「キー坊」氏の記事を読むと、「キー坊」氏も、9月9日の法廷を傍聴し、法廷の論議の模様をつぶさに観察したらしいが、それによると、原告側の弁論にかなり怪しい動きがあるらしい。「キー坊」氏は、新しい「歴史教科書をつくる会」主導の沖縄現地取材の過程で飛び出してきた「宮平秀幸証言」騒動に関連して、小生に、続々と重大な新情報を提供してくれた沖縄出身の民間の「沖縄戦」研究家だ。「キー坊」氏は、「宮平秀幸証言」のいかがわしさ証明するために、「小説新潮」の本田靖春ルポや「宮平秀幸のビデオ出演」等の資料を発掘し、即座に小生に提供してくれたわけだが、したがって、それによって小生も、画期的な「新証言者」発見という原告側の主張が、まったく実証性も論理性もない出鱈目な発見であり、詐欺的な主張であることを、実証的に論証したわけだが、その影響かどうかわからないが、原告側弁護団は、「宮平秀幸新証言」こそ決定的な新資料だ、これで裁判に決着はつく……、と新聞やテレビなどで繰り返していたにもかかわらず、大阪高裁での第一回目の法廷での訴状では、「やばい」と思ったのか、「宮平秀幸証言」に一言も触れず(?)、まったく無視した上で、歴史家の秦郁彦を証人申請し、それを拒絶されると、秦郁彦のいささか、古臭い「諸君!」2月号論文を証拠提出していたはずであったが、なんと、第二回目の法廷論議では、「秦郁彦論文」を取り下げて、苦し紛れかどうか知らないが、「宮平秀幸新証言」を前面に打ち出してきたのだそうである。以下は、「キー坊」氏のコメントより。

キー坊
2008/09/09 11:51
週末から今日までの所用で大阪に来ています。ある所で「ある神話の背景」に関する資料も入手しました。
偶々今日大阪高裁で大江裁判の第二審・2回目の公判があるようです。又とない機会ですので、傍聴券を求めて並んでみようかと思っています。
1回目で秦郁彦の証人申請はあっさり却下されたということは、書証として出された秦の「諸君2月号」の論考も、裁判官は重視しないのではないかと予想しています。今回での結審が予測されていますが、常識で考えれば、逆転の判決はありえないと思っています。



キー坊
2008/09/10 10:24
運良く傍聴券が当たったので、裁判の様子を見れた。東京へは昨夜のうちに帰ってきた。
裁判所戸外で抽選を待つ間、花壇の縁で隣に腰掛けていた老人、どこかで見た顔だと思っていたら、開廷後、弁護人の後ろに座っていたので原告の赤松弟だと分かった。梅澤元戦隊長も隣にすわって、眼光鋭く相手側弁護士を睨むように聞き入っていた。
抽選に並び始めてから、すぐ前に立ってる小柄な男は目取真俊だった。「こんにちわ」と声を掛け、「逆転原告勝訴などあり得ないでしょうね。」と訊いたら、例によって愛想ない顔で「まだ判らないですよ」、と返って来た。彼は抽選外れたようだったが、支援者から当たり券を譲ってもらったようだった。

法廷は、各弁護人が15分づつ意見書を朗読しただけで、40分弱で閉廷、裁判長が、これで弁論は終結、次回10月31日に判決を言い渡す、と宣言して結審した。
まず、被告側が意見陳述したのだが、大半が「宮平秀幸証言」の信用性否定の弁論だった。原告側は秦郁彦の諸君2月号を取り下げて、宮平証言を証拠提出したのだろうか。被告弁護側はもちろん、本田ルポ及びビデオ出演での宮平証言を熟知しており、一笑に付すような態度だった。
提出されたのは宮平秀幸本人がしたためた書状ではなく、鴨野守が雑誌に書いた文章と、藤岡信勝が提出した「辻褄あわせ」の宮平証言擁護の作文だったようだ。

原告側はかなり態勢が崩れているのではないか。一回目公判では秦郁彦を承認申請して却下され、その代わりの秦論考を書証提出したのに、今回の公判ではそれに基づいた弁論は無かった。すでに破綻している宮平証言を未練がましく持ち出している。大江岩波側に反論を述べる弁護士徳永某も心なしか声に力がなかった。

こんな法廷の状況で、原告逆転勝訴の判決がある筈は無かろうというのが小生の素人予想であるが、どうなのだろうか?

(ー続ー)

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