森の道、耳を澄ませば、エス・ギプト！

ここは僕の秘密の場所だ。小さい頃、よく一人で遊んだものだ。この奥は竹林になっている。そろそろ筍の季節だ。というわけで山の奥に分け入り、探してみたが、残念ながら筍は一本も見つからなかった。今年は、筍の芽生えが遅いのだろうか早いのだろうか、僕にはわからない。このすぐ近くに洞窟があり、そこから清水が少しずつ涌き出ている。水量は僕が子供だった頃も今も変らない。昔は、父が、ここに池を作り、この水を利用して鯉を養殖していたこともあるが、今は見る影もなく荒れ果てて、杉林の中に雑草が生い茂っているだけだ。今の僕の趣味は、ここの清水をペットポトルに汲んで、家に持ちかえり、湯を沸かしてコーヒーを飲むこと。

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