文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

大量殺人と『ネット右翼亡国論』

大量殺人と「ネット右翼亡国論」。
ネット右翼」という言葉がある。定義は明確ではないが、先日、相模原の障害者施設で起きた大量殺人事件は、「ネット右翼」、あるいは「ネット右翼現象」という言葉をキーワードに、分析=解明できるのではないかと、私は考える。犯人(容疑者)は、自首、逮捕後の取り調べや自白、証言、あるいは周辺に漏らしていた過去の言動などから推測するに、典型的な「ネット右翼」であることが分かる。「犯罪は社会を映す鏡」だとか「犯罪は時代を映す鏡」だという説もあるように、まさしく、今回、起きた大量殺人事件は、現代社会や時代精神の病理を反映した事件であるように見える。むろん、この前代未聞の凶悪な大量殺人事件は、様々な解釈や分析が可能であろう。しかし、私は、今、「「ネット右翼」という言葉をキーワードに現代日本の政治、思想、文化、芸能・・・の病理を論じる『ネット右翼亡国論』を書き進めているところだったので、『ネット右翼亡国論』のテーマにピタリと当て嵌まると判断しないわけにはいかなかった。「ネット右翼」という言葉には、人によって、様々な定義が可能だろうから、私は、私の定義や分析、論考のみがが、絶対的に正しいと言いたいわけではない。ともあれ、私は、「ネット右翼」、あるいは「ネット右翼現象」が、よく論じられるように、低学歴、貧困層、下級労働者・・・に特有の現象とは思っていない。むしろ、私が、問題にしたいのは、高学歴、高所得者、高級インテリ層に蔓延している「ネット右翼現象」である。佐藤優氏は、『知性とは何か』という著書の中で、現代の日本社会に蔓延している「反知性主義」を批判、告発しているが、佐藤優氏の言う反知性主義は、むしろ、政治家や高級官僚、インテリ文化人の中に蔓延している反知性主義であって、一見、そう見えないような政治家や高級官僚の反知性主義を問題視している。私が言おうとしている「ネット右翼」、あるいは「ネット右翼現象」も、ほぼそれに近い。つまり、「ネット右翼」、あるいは「ネット右翼現象」は、低学歴、貧困層特有の現象ではなく、現代日本の特徴は、高学歴、高所得者層に蔓延している「ネット右翼現象」こそ問題なのである。相模原の大量殺人事件の犯人も、大卒であり、父親は学校教師であるという。犯人は、高学歴、高所得層の人間ではないかもしれないが、少なくとも、「低学歴、貧困層・・・」の人間ではない。犯人は、犯行前に、「ヒトラーの思想が降りてきた」とか、「フリーメーソン」の話などもしていたようだ。このことから、何が分かり、そして同時に何が分からないか。彼が、逮捕後、不敵な笑みを浮かべたいたことが示すように、彼は彼なりに勉強しており、自分の築き上げた思想に自信を持っていたように思われる。彼を、「大麻常習者」とか、「無知無学の貧しい田舎者」とかいうようなイメージで捉える見方は、大きく間違っていると思われる。私は、それなりの雑学的教養は身につけているが、その教養は、底の浅い、一夜漬け的教養であり、すぐにメッキがはげるような雑学的教養でしかなかった、と思う。それなりに勉強しているが、その教養は底の浅いものでしかない。この二面性(二重性)は、最近の「ネット右翼」の特徴である。そこで、私は、「ネット右翼」を、「ネット右翼A」と「ネット右翼B」に分けて考えたい。二つを分ける基準は、「思想の土着化」、ないしは「思想の存在論化」という問題である。


(続く)


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