文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

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務台理作のヒューマニズムとテロリズムー佐藤優との対話(3)。



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佐藤優は、田辺元の「歴史的現実」に続いて務台理作の「ヒューマニズム論」を取り上げている。いづれも戦前の京都学派の哲学者の言説ということになる。



佐藤優によると、務台理作ヒューマニズムは、素朴なヒューマニズムではなく、反体制的なテロリズムをも射程に入れている。というのは、「人間性」が抑圧され、「人間的な生存権」が侵害されるならば、そういう権力や制度に対しては、反逆してもいいという反体制的革命の論理が成り立つということである。


言い換えれば、「ヒューマニズム(人間中心主義)」を唱えつつ、それ故に結果的には「テロリズム」擁護へと行き着くこともあり得るということだ。佐藤優は、それはスターリニズムだという。要するに、スターリニズムヒューマニズムの極限形態なのである。しかし、務台理作自身に、そこまでの深い、根源的な思考力があるとは思えない。


私は、「ヒューマニズム」とか「反スターリニズム」とかいう言葉が嫌いだった。その理由がやっと分かった。小林秀雄は批評は自意識だと言っている。私は、「ヒューマニズム」とか「反スターリニズム」「反ナチズム」とか言う奴の知的「鈍感さ」が嫌いだった。フロイドやジャック・ラカンだったら、「それが人間だぞ」と言ったはずだ、と思った。






(続く)
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