文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

■「中村修二」化してきた堀江社長の言動とマスコミ。

 ホリエモン、こと堀江ライブドア社長のマスコミの露出度が増すごとに、ホリエモンの言動の本質が見え始めてきた。それは一言で言えば「安っぽい改革派」である。古い日本の商習慣をぶちこわし、アメリカ流の合理的な経営戦略で新風を起こしていく、というわけだ。僕は、堀江という男はもっと底の深い思考力のある人間かとおもっていたので、最近の「改革派気取り」のうすっぺらな言動を見てすっかり失望した。「堀江よ、お前もか」というわけだ。そういう大衆迎合的な六本木ヒルズ的な言動を受けて、マスコミやネットでは、次第に「ホリエモン=黒船」という議論がもりあがってきた。ニッポン放送やフジデレビが「守旧派江戸幕府」で、ホリエモン坂本竜馬か黒船…というわけだ。少年漫画レベルの状況認識だ。この種の議論ですぐ思い出すのは、先々月、東京高裁で和解決着に追い込まれ、200億円をフイにして怒り狂っていた中村修二の例だ。中村が、テレビを中心にマスコミに登場してきた時のフィーバーぶりもこんなものだった。マスコミは中村の詐欺師的な言動の内実をよく勉強も分析調査しないままに中村を「ノーベル賞にもっとも近い男」と煽て上げ、宣伝しまくり、中村を改革派のヒーローに仕立て上げたのであった。中村自身も、ホリエモンと同様にマスコミを利用しようとして、マスコミに煽てられ、有頂天になったあげく、結局はそのマスコミからもあっさりと遣い捨てられたピエロだったが…。いずれにしろ、こういう時のマスコミの責任は重い。「毎日新聞」の女性記者が早速、陳腐極まりない「ホリエモン=黒船」説を展開し、放送界の守旧体質を批判し、ホリエモンを日本の苦境を救う「ニューヒーロー」のように持ち上げている。テレビ放送界の体質をネットと比較して云々する暇があったら、その頑迷固陋な体質に汚染されたままの新聞の体質でも分析してみてはどうなのか。新聞の地盤沈下はテレビどころではないだろう。新聞→テレビ→ネットだろう。さて、新聞各紙の報道によると、ハンセン病患者の隔離軟禁政策を、歴史に逆行して強力に推進した米田とかいう専門家の責任が明らかになったらしいが、なんとこの米田というハンセン病の権威は、当時のマスコミの「ヒーロー」で、「朝日新聞」からは表彰も受けていた人物らしい。これも、マスコミが持て囃すような人物にはろくなものはいないという実例だろう。